おはようございます!
最近、話題の調理家電フィリップス社製ヌードルメーカーを購入されたお客様より、「どのそば粉が合うか?」というお問い合わせをいただくようになりました。
今や大ヒットとなったヌードルメーカーですが、購入されてご自宅でうどんやパスタ、ラーメンを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。
弊社にも1台用意してあります。
最近の調理家電は素晴らしいですからね、購入した日に早速試してみたところびっくりするほどの大失敗!
水分が多すぎて麺が出てきた段階からくっついてしまう。
打ち粉を振っても全然ダメ。
なぜ、そば粉に詳しいはずの自分たちが失敗してしまったのか?
理由は簡単、説明書を見なかったからです笑
今まで色々な現場でそば打ちを見てきて”手打ち”と”機械打ち”の加水率や水加減が頭に入っているので失敗なんてしないだろうと高をくくっていたのが間違いでした。
説明書を見るとそば粉と小麦粉の割合、加水率がちゃんと書いてありますので、その通りにブレンドして加水を行ってください。
一つ注意点を上げるなら水を加えるスピード。ご自身が思っているよりゆっくりちょろちょろと少しずつ丁寧に全体に行き渡るように注ぎ入れてください。端っこに溜まって動かないそば粉を時々、ヘラで中央に移動させながらコネが終わる10秒前くらいに注ぎ終わるくらいがいい感じでした。
ちょっと粉っぽいかもしれない・・と感じる程度に加水を留めておかないと柔らかくなりすぎて失敗します。
次に重要なのがそば粉選び。
ヌードルメーカーではどんなそば粉を使っても美味しくできるのか?というところ。市販のそば粉を見ますと「そば粉」と書かれただけのものや、「全粒粉」「粗挽き」などもあったりします。そば粉は産地や挽き方によっても粉の性質・含水率が違うので、実際に打つ時は生地の状態を確かめながら作業する必要があります。
もう一つ、粉の鮮度も大切です。
そば粉に限らず小麦粉、うどん粉も収穫年度や製粉からどれだけの日数が経過しているかがとても大切です。ヌードルメーカーを使えば誰でもほぼ同じ条件で麺が打てる分けですから、粉の美味しさで麺の味が大きく左右されます。
お問い合わせいただいたお客様のお話をお聞きしますと、大半の方は「せっかく食べるなら多少高くても美味しい蕎麦が食べたい!」というお話もありましたので、参考までに弊社のそば粉でそれぞれ試してみました。
末吉の越前そば粉オンラインショップで購入できる5銘柄の蕎麦粉を試作
用意したのは弊社製造の5種類のそば粉。
【金華】特上そば粉、【越前】丸挽きそば粉(挽きぐるみ全粒粉)、【水仙】抜実挽そば粉、【奥越】粗挽きそば粉、【吉峰】抜粗挽そば粉です。
【金華】、【越前】、【水仙】は50メッシュ~70メッシュのやや細かい粒度のそば粉で、【奥越】、【吉峰】は20メッシュ~30メッシュの粗めの粒度です。粉は細かいほどつながりやすく、粗いほどつながりにくくなります。
説明書通りに小麦粉をブレンドして注意しながら加水を行ったところ、前半3種類は問題なく打てました。ただ、【越前】丸挽きそば粉は粘りが出やすいので、機械に抵抗が生まれところどころ粉で残っている部分がありました。
次に粗挽きそば粉2種。
粘りが弱く、つながりにくいので加水率は10cc~20ccほど若干高めで加減する方がいいような気もしましたが、説明書通りでそれほど問題はないかと思います。ただ、乾燥が早く切れやすかったです。打ちあがったら間髪入れずに湯がいた方がいいかもしれません。小麦粉の量をもう少し多めにいれるとつながり良くなります。
個人的には程よい歯ごたえと越前そばらしい色味が残る【金華】特上そば粉が良かったです。
ヌードルメーカーを使えばそれなりに美味しい麺ができますが、使う粉によって特徴があるので加水率は微調整が必要です。お近くで手に入るそば粉や通販で買えるそば粉など色々な粉で試していただくと面白いですし、それらをブレンドして新しい味わいを楽しむのもいいですね。
ヌードルメーカーの説明書には、蕎麦は小麦粉を半分入れるように書いてある!?
ヌードルメーカーで蕎麦を作る場合、基本レシピがそば粉と小麦粉が5:5か6:4だったと思います。
なぜ小麦粉を多くブレンドする必要があるのかと言うと、おそらくですが蕎麦粉は抵抗が大きいので生地全体の含有割合が多いと押し出す際に機械が壊れてしまうからではないかと思われます。それを踏まえてやってみたところ、二八蕎麦もできるはできるんですが、7:3くらいが食感や蕎麦の持ちを考えるとちょうど良いように思います。
ヌードルメーカーで十割蕎麦を作る2つのポイント
①加水率をそば粉の35%にする。→そば粉500gだったら175ccの水
②水の投入を超ゆっくりやる。中のローラーを動かしながら2分ほどかけて少しずつ投入する
これは【金華】特上そば粉と【水仙】抜実挽そば粉を使用した場合ですが、他社の福井県産の石臼挽きそば粉(手打ちそばにも使われる粉)でも同じ作り方でほぼ上手に作れると思います。ただ、取扱いが難しいのでコツが要ります。ヌードルメーカーを購入されて蕎麦だけは上手くいかないという方、お試しください。
手打ちより美味しい?と言われれば、たとえボロボロになってしまったとしても打ち手の心がこもっている分、個人的には手打ちの方が美味しいと思います。でも「下手な手打ちより機械打ち」という言葉もありますから、手打ちできないけど家庭で麺線の蕎麦が食べたい方には良いでしょうね。
[9月2日(火)]
玄そば産地:福井県大野市産(早刈り品)、坂井市丸岡町産(早刈り品)、吉田郡永平寺町産(完熟品)
天気:晴れ
石臼工場内室温:26℃
石臼工場内湿度:42%
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■越前蕎麦粉製造元カガセイフン
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製粉に命をかける五代目社長と、蕎麦が大好きおかみの日記
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