先日、早刈り新そば粉をご注文いただきましたお客様より、「最近の福井のそば粉は、色みばかり気にしていてそばの旨みがなくて、味が薄いよね」という声をいただきました。
その理由はいくつかございまして、
１、未熟な早刈りそば
早刈りそばは実が熟し切っていない未熟の状態で刈取りを行うことで青みの強いそばを収穫するのですが、未熟な分、鮮烈な若々しい香りはあるものの、そばの味わいやそば本来の香りは薄くなってしまう
２、早刈りそばを求める方が激増
早刈りそばが栽培されるようになってから、青みの強い玄そばを求められる営業店やお客様が激増し、それまで主流だった完熟そばの栽培を減らす分だけ需要のある早刈りそばの栽培を増やしている
３、福井の天候
ここ数年、そば栽培中の天候や自然災害、害虫、交配に必要な虫に悩まされ、作柄が安定しません。
・播種（種まき）後の集中豪雨によって種が流された
・雨が降らず太陽が照りつける暑さが続いたことによって高温障害が残った
・お盆を過ぎても気温が下がらずアブラムシが大量発生した、
・台風により一帯のそば畑がダメになった
・収穫前に大雨が降り、そばの実が落ちてしまった
・そばの交配に必要な蜂や蝶などの虫が現れず、結実が遅れた
・冬なのに暖かく、まとまった雪が降らなかったため、畑に住む菌類や虫が死滅せず、土壌が肥えなかった
４、早刈りそばの誕生
福井はそばの収穫時期にあたる10月末～11月初旬に雪が降る為、過去には幾度となく雪の被害に遭い不作に悩んできました。
そこで、雪が降る前に収穫してみてはどうかと始まったのが早刈りそば。未熟なそばの実は水分が多く、特殊な機械を用意したり、粒が非常に細かいため1反あたりの収穫量が完熟そばほどに得られないという問題の他に、未熟な故にそばの旨みが弱くなってしまうという面はありますが、その代わりに青みの強いそばが得られ、農家さんは雪の被害に悩むことなく収穫することが出来るようになりました
新そばの時期には青みの強いそばを求めるお客様が多く、早刈りそばに関しては青みを重視せざるをえない為、色みばかり気にしていてそばの旨みがなく味が薄いと思われるのも仕方のないことだと思います。
でも、味わいや旨みのあるそばをお求めなら福井には完熟そばというそばも栽培してます。
元々、福井のそばは完熟そばだけだったのが、天候上の問題から早刈りそばが生まれて今では2種類の新そばが作られるようになりました。
11月初旬にいち早く入荷してくるのが早刈り新そば、12月中旬頃に入荷してくるのが完熟そばで、11月初旬～12月末までは早刈り新そばを、新年1月以降は完熟そばを通年で取り扱います。
完熟そばは早刈りそばと違い、追熟しますので収穫後2ヵ月ほど経過した頃からが美味しいと言われます。ちょうどこれから3月頃にかけて完熟そばの旬を迎えるわけです。
弊社では新そばの時期は早刈りそば、それ以外の時期には完熟そばを製粉しておりまして、追熟し旨みや香ばしい香りが出てくるちょうど食べごろの頃に完熟そばをご提供しております。産地によっても旬な時期がありますので、それらをプロの目で判断してご提供しております。
これから旬を迎える完熟そば、２月後半以降に切り替えて販売予定です。
ご期待ください。
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