私たちは「福井県産無農薬栽培の玄そば」を使用し、伝統の石臼と製粉技術で試作を行い、業務用そば粉を作り上げます。
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フランス・アンジェの名クレーピエ、フィションさんに「ブルターニュ地方で有機栽培したソバを使って石臼で挽いたガレット粉」と「福井県で無農薬栽培のソバを使って石臼で挽いたガレット粉」を使って、ガレット料理を試作し、評価をいただきました。
加賀 そば粉はどちらのものをお使いですか?
フィションさん ブルターニュのファティゲ製粉所のものです。石臼で挽いており、完全無農薬のそば粉を生産しています。「ファティゲ」とはフランス語で「疲れた」という意味です。直訳すると「疲れた石臼」「疲れた工場」になりますが、疲れ果てるほど長く使っているという意味なんでしょう(笑)。
加賀 今ほど、フィションさんが焼いてくださった具を入れないプレーンなフランス産そば粉のガレットをいただきました。歯ごたえがあってモチモチです。私が今まで食べてきたガレットの生地とは違う味わいです。やっぱり焼き方や焼く温度なのでしょうか?
フィションさん フランスでは、ご家庭でもガレットは簡単に作れます。薄く焼くのは難しいですが、私の場合はガレットパンを使って270℃で焼いています。では次に、福井県産のガレットに私自慢の塩キャラメルをかけたものを食べてみてください。
加賀 パリパリです! どうしてこうパリパリに!?
フィションさん 高温でしっかり焼いていますから。
加賀 フィションさんは福井県産の粉には苦みと酸味があるとおっしゃっていたので、その苦みとは高温がゆえに“焼け焦げた苦み”だと思っていました。実際食べてみると焼け焦げた苦みではなくて植物としてのソバの苦みと言いますか、食べた後にほのかに舌に残るエグ味に近い苦みを感じました。
そして、福井県産の特徴でもある粘り、そこからくるヌメリが見事にモチモチ食感に変わっています。これは品種や挽き方によるものだと思いますが、フランスの方はこのヌメリに戸惑われたりはしませんでしたか?
フィションさん カガセイフンのそば粉のガレットは噛んで喉の最後の最後のところで苦みとえぐみを感じますよね。このタイプのそば粉は香ばしいガレットになりますし、ヌルヌルした生地の質感もフランス人は嫌がらないと思いますよ。焼くときに気をつけないといけませんね。ヌメリが残ったままの生焼けだと消化に悪く食感も良くないので、しっかり焼いてヌメリを上手くモチモチ感に変えてやらないといけません。個人的には、タネにしたときヌメリがある方が扱いやすくて便利だと思いますし、フランス人の方がよく使ってくれそうな気がします。
加賀 なるほど、福井県産の特徴である粘りからくるヌメリ感は、フランス人には、焼く前の生地状態でとても使いやすく感じるのですね。カガセイフンには「ヌメリがある」という問い合わせが寄せられていましたがフィションさんの感想で分かりました。ヌメリは焼く時に注意が必要だということ、中途半端な火の通し方ではヌルヌル感が消えないこと、生焼けのような食感になって香ばしさも立ってこないこと。つまり高温でしっかり焼き上げる(焼け焦げる2歩手前くらい)ことによって、パリパリ感とモチモチ感を兼ね備えた香ばしいガレットに焼き上げられる、そういうことですね。
フィションさん フランス産のガレット粉は誰が焼いてもパリパリに焼くことができますが、福井県産ガレット粉はそば粉の特性(ここではヌメリ)と、そば粉と対話できる技術(焼き上げの温度と時間)を伴わないと、生焼けになるということです。
加賀 フランス産のガレットは皮がたくさん入っている分、味が重くなります。カガセイフンと変わらない同じ全粒粉なのになぜでしょう?
フィションさん おそらく仕上げの細かさが違うだけでしょう。ファティゲ製粉所からは最初に皮と胚芽と分けていくと聞いています。そのあと細かくするたびに別の容器に入れ、どんどん分けていくので、どの段階でやめるのかで粗さが違ってくるかもしれません。ファティゲ製粉場は4階からそばの実が降りてきて、ずっと石臼を回していくと聞いています。黒い部分と白い部分と分けていき、それが全粒粉と半粒粉となります。
加賀 カガセイフンでは皮付きのそばの実を2回石臼に通して挽き上げますが、「どの段階でやめるかで粉が違う」というのは、各段階の挽き方によっても違うでしょうけれども、粒度ごとに何回も石臼を通して挽き分けていくということでしょうか? また、最初に分けるのは外側の黒皮と抜き実だけでしょうか? 甘皮なども分けるんですか?
フィションさん 甘皮までは分かりませんが、大体の製粉工場ではまず黒い外皮と抜き実を分けてそれぞれに製粉した後、顧客の要望に合わせてブレンドします。もちろん、抜き実の状態で販売している会社もあります。
加賀 ガレット粉の製粉の仕方は日本の場合と大きく変わらないようですね。挽き分け方については製粉会社に聞かないと分からない。フィションさんは、焼いた時に黒く発色して香ばしい香りが立つこと、パリパリ感の出るそば粉が良いそば粉という認識をお持ちのようです。
日本も同じですが技術はそこそこで品質が安定しないお店(焼き手が複数名いてコロコロ変わる)では、だれが焼いてもそれなりのガレットが提供できるよう、技術力を必要としない比較的安価な定番製品を使います。
一方、フランスのようにガレットレストラン激戦区や地方のクレープリーでは、ここでしか食べられない品質を提供するために、シェフがそば粉の配合を指定し地元食材をふんだんに使って魅力をアピールしています。「わざわざ食べに来てほしい」というインバウンドの考え方に通じるように思いました。
加賀 フランスはそば粉をすごく使い慣れているというか、日本の人の方が使いこなせてないんじゃないんですかというような印象です。私は軽いショックを受けています。シェフがそば粉に求めるレベルが違いますし、色の違いも感じます。フィションさんにタネの作り方を見せてもらうと、福井県産には水はもうちょっと入れないといけないみたいです。日本だとフランスのビオマルシェやガレット店で見たような同じふくらみにならないんです。
フィションさん 水と粉の割合はだいたい水2:粉1。いっぺんに水を入れるんじゃなくて、一時間前にこれくらいの水の量にします。事前に作りますが、粉の状態を見て1時間くらい前に水を少しずつ足しておくようにしています。通常使っている粉はすぐ分かるのですが、福井県産は分からなかったので水を見ながら入れています。思ったより水を入れているでしょう。
加賀 シェフが福井県産そば粉の特徴を見極めて、水の配合や焼き方、焼く温度を知ることができればフランス産よりも香ばしく、食感のいいガレットになると見えてきました。
フィションさん フランスで福井県産ガレット粉が手に入れば使いたいのですが、私が探し当てたファティゲ製粉所も使い続けたいのです。両社をブレンドすると他店では食べられない味わい深いガレットができるでしょう。
加賀 (日本人のガレット作りは)それこそYouTubeでみて、見よう見まねでやっているお店もあり、本場の粉を使ったことのない人が多い。カガセイフンへの問い合わせも「粉が粗くてうまく焼けない」「穴が開いてしまう」という相談です。
フィションさん ジェスチャー(ガレットを焼くこと)をきれいにできるようになるまでには少し時間がかかります。焼くのに慣れたら粉の粗い細かいは関係ない。1カ月毎日毎日やっていればうまくなります(笑)。
加賀 ずっと日本でできるフランスのガレットを研究してきたんですけど、あまりにも条件が違いすぎて…。味が全然違いますね。ネギや野菜を使うと水分が出てしまって味がぼけてしまいます。
フィションさん マッシュルームはどうでしょうか。生のキノコを使う場合は、トウモロコシの粉でクリームを使ったりすることで水分が外に出ないので大丈夫です。グリーンピースや豆類ですとか。あとはお肉のパテですね。レストランでもフォアグラなどが人気です。魚も大丈夫ですよ。フランスではそば粉を使ったデザートはあまり作りませんが、カガセイフンのそば粉は香りがあるし味もあって甘いものに合わせると味も変わってくるので面白いですね。
加賀 福井県産のガレットを甘い物に合わせる発想はありませんでした。試食させていただいて、フランス産のガレットは見た目に味や色味の濃い印象を持ちつつも、後味がさっぱりしているので最後まで飽きの来ないガレットでした。福井県産のガレットはナッツ類に似た独特の香ばしさと弾力があるので、食事ガレットとしても、クレープの代わりにスイーツを合わせてデザート系ガレットとして楽しめる、そのことに気づきました。
フィションさん カガセイフンさんのガレットは、フランス産のそば粉とフランス産の小麦粉の間の感触がしました。食事にも甘いもの、どちらにも合うというのは大きな特徴ですよ。
加賀 ガレットの違いというのは生地の違いでしょうか?具材の違いでしょうか?
フィションさん なによりもまず、いい粉を見つけるということです。ブルターニュで栽培されていてブルターニュで製粉していてビオのもの。私はこの粉を見つけるのに5年かかりました。
加賀 いい粉の条件とは?
フィションさん 食べたときに味がよく出るものです。焼いてしまうとそばの香りが飛んでしまうので焼いても味が残っているもの。そば粉は消化が良くないので、香りがよくて消化ができるいい粉をみつけるのが難しかったです。
そのあと何をのせるかです。もちろん具によっても随分変わるんですが、ベースは粉なのでいい粉を使わないことには何も始まらない。フランスで手に入るそば粉は、ブルターニュ産、フランス国内産、中国産。今や80%は中国産です。味も値段も違いますがね。
加賀 中国産はビオではないと思うのですが?
フィションさん 中国産でもビオのものが多少あります。。ビオとビオでないものは味も全然違いますし熟成の時間も変わってきます。ビオのものは熟成時間が短くて済むのですが温度や湿度に気を使わないといけない。
加賀 ガレットの粉も挽きたてがいいんですか?
フィションさん 個人的には挽いてから2~3カ月待った方がいいと思います。25キロの袋に入れたまま高いところで保管しておくと、よい粉になります。乾燥させると含水率は下がりますが味は強くはっきりとなりますよ、とにかくガレットは味が大事なのですから。
ガレットにはシードル、これは絶対です。だからといってどこにでも販売してるシードルは扱いたくないのです。もとからあまり市場に出回っていないシードルを選んでいたんですが、いつの間にか有名になってどこでも買えるようになってしまいました(苦笑)。
私たちは、私たちのレストランでしか食べられないガレットを目指しています。シードルも同じ。その地で採れたリンゴを使って土地の人が製造したものを使いたいというこだわりを持っています。確かに高価なりますが「ここはいいものを仕入れているね」分かって頂けるお客様がいるので続けていきたいです。本当においしいシードルなんです。
フィションさん もともと、そば粉はマルコポーロの時代で中国からフランスに来たんです。当時ブルターニュ人がフランス人と認められていなく、畑を耕すことができるのはフランス人だけだったんです。フランス人は畑で耕したものを王様に納めることができますが、ブルターニュ人は畑を作る権利がないから納めることができない。そこで畑ではなく道沿いに簡単に栽培できるそばを蒔いて、自分たちで育てて食べていたそうです。それが伝統食として今も残っているので、ブルターニュ地方にはそば粉料理が多くあるんです。
フィションさんのお話からは、フランス産そば粉を使ったガレット生地はそば粉:水(1:2)で作るとのこと。まず、そば粉:水(1:1)で固めの生地を作って一晩から二晩寝かす(生地を黒く発色させ、粉と水分を馴染ませる効果がある)。一晩くらい寝かさないとガレットに浮く気泡が生まれない。焼く前に残り1割の加水をして好みの固さに調節するやり方だった。
福井県産は粘性が高いので、最初はそば粉:水(1:2)にしていたそうだが、水を増やして(1:3)に。ガレットパンの温度は300℃近いものだった。鉄板に生地を流して270℃になるくらいがちょうどいいという。生地を素早く広げて焼き目がついたら裏返して10秒ほど焼いたら表面に戻して溶かしバターをぬって焼き上がり。
ガレットを1枚焼かせていただいたが力加減を間違って失敗してしまった。フランス産は生地がサラリとしていて非常に生地が伸びやすいので、高温の鉄板でも速やかに薄く広げることができた。一方、福井県産は生地がトロリとしているのでフランス産に比べて鉄板の上で生地が伸びにくく、素早く広げていかないと生地に厚みが出てしまう。フィションさんは厚みのある部分に関してしっかり焼き上げをしないと、生焼けのヌメリ感が出てしまう、という指摘だった。失敗してしまったのは私の技術不足(苦笑)。フィションさんは「1カ月ロゼルを使えば上手に焼けますよ」笑ってくれた。
Crêperie du château
21 rue Saint Aignan
49100 Angers
TEL 02 41 88 53 87
La crêperie est ouverte midi et soir du mercredi au samedi.
http://www.creperieduchateau.fr/
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