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Minoterie de Roncin (ロンシン製粉所)を訪ねて その1(フランス・ブルターニュ)

Minoterie de Roncin(ロンシン製粉所)社長Jean-julien Genest(ジャン=ジュリアン ジェネス)さん
ガレット粉の質を決めるのは顧客。市場から生産者や製粉者に対し満たすべきレベルと品質を求められる

ブルターニュのガレット粉を製造する会社を訪ねてきました。福井県産の品種と栽培の違い、カガセイフンのそば粉の挽き方の違い、粉に対する考え方……ジャン社長からお聞きしたすべてが新鮮と驚きに満ちた経験になりました。

ブルターニュのそば粉に安心と信用をもたらすため
そば粉の産地証明を得ようと協会を立ち上げた

We talk about farine de sarrasin,ble noir and galette.Minoterie de Roncin S.A.R.L Henri TUAL,18.

加賀 ロンシン製粉所さんで挽いているのは全部ブルターニュの在来種そばですか?

ジャン社長 すべてではありません。ロンシン製粉所にはヨーロッパのそばやブルターニュの認証を取った伝統的な品種のほかに、オーガニックとオーガニックではないものもあります。4年前まで中国産そばも種として使っていました。モンゴルや中国のものでも質は良かったんですよ。

ですが小売店やレストランオーナーからの希望により中国産を使わなくなりました。現在はEUが決めているフランスやヨーロッパの原産地証明書がきちんとしているものしか扱っておりません。そばの中にはカナダ産でいい品質のものもあります。中国産にも品質の良いものもありましたが、顧客(そば粉を依頼するレストランやカフェのシェフのこと)が望んでいないので使うことはないですね。私たちは顧客からの仕様書にそって製粉をしています。

ブルターニュ在来種は、Blé Noirという活動の中から生まれたものです(※1)。仲介業者、卸業者、製粉業者、生産者たちとIGPの組織(BléNoir Tradition Bretagne協会 ※2)を立ち上げました。私たち製粉業者は生産者からそばを買い取り、ガレット店やレストランは私たちからそば粉を買い取ります。私たちの顧客(クライアント)はガレット店やレストランであり、顧客から「仕様書」を受け取ります。私たちは顧客が望むとおりに製粉しているのです。

——脚注

※1 BléNoir Tradition Bretagne協会……1987年に、生産者と製粉業者のグループがブルターニュで黒小麦の生産を開始。2010年6月25日に保護地理的表示を得ることにつながる。BléNoir Tradition Bretagneの協会は、ブルターニュのIGPそば粉の栽培、貯蔵、加工の正しい栽培方法を行う。加えて完全なトレーサビリティを備えた高品質の製品を保証する。https://www.blenoir-bretagne.com/

※2 IGP……EUが規定した「地理的表示」の一つで、「indication géographique protégée」の頭文字。「保護地理的表示」などと訳す。「地理的表示」とは、ワイン、乳製品、農産物など産地の地理的環境や風土に由来し、すぐれた特質を有する産品について用いる特定の地域や指定区域の呼称のこと。

We talk about farine de sarrasin,ble noir and galette.Minoterie de Roncin S.A.R.L Henri TUAL,02.

加賀 そばも小麦も同じ工場で挽いているのですか?

ジャン社長 そうです、この工場で今週は小麦、来週はそばというように受け入れて空気選別しています。その際、細かく分けてストックしており、3トンのサイロ、20トンのサイロ、80トンのサイロなどに分けておきます。基本的に全粒でそのあとにいろいろと挽き方を変えていきます。温度管理は特別していませんが、夏場はエアコンをつけて作業をします。顧客によって求めるクオリティが違うので、最終的にはフランスの中でも違う品種をブレンドして仕上げることもあります。しかし小麦アレルギーやグルテンフリーの問題があるので工場を分けることにしました。ひとつの工場を分解して別の敷地へ移設し、2年後には完全に小麦とそばをわけて再稼働する予定です。

We talk about farine de sarrasin,ble noir and galette.Minoterie de Roncin S.A.R.L Henri TUAL,01.

加賀 そば粉はほとんどガレット店へ卸すのですか?

ジャン社長 ほぼガレット店です。あとはそば粉チップス用の工場などでしょうか。地元ブルターニュだけではなくフランス国内やヨーロッパにも出荷しています。

加賀 日本へガレット粉を輸出していますか?

ジャン社長 おそらく日本へは輸出していませんね。イギリスやスペイン、イタリア、アメリカあたりでしょうか。アメリカへは、シードルを輸出している方と一緒に出しています。私たちはガレット粉しかやりませんから。粉はフランスで一番大きな会社がまとめていて、生産した粉はそこへ納入しないといけないのです。私たち製粉業者にはフランス国内で直接売る権利がないのです。ただし、海外へ輸出する場合は、温度管理をする関係上、私たちに権利があるんですよ。海外向けはシードルのパレットを利用してそば粉を出荷します。そのため製粉会社は空調に投資が必要なんです。人によっては冷蔵庫を買って保管している人もいます。

そば粉の挽き立ては出荷しない
原料を貯蔵し、製粉してからも乾燥させておく

加賀 ロンシン製粉所さんでは1日のそば粉生産量はどれくらいですか?

ジャン社長 生産量は一時間当たり2.5トン。急ごうと思えば早められますよ。一日中風車が回っているわけではなく、また製法のひとつとしてゆっくり作るということもあります。

加賀 そば粉は温度管理も重要ですよね。ロンシン製粉所さんでは何度くらいでそば粉を保管しているのですか?

ジャン社長 だいたい15度以下であれば問題ないです。化学薬品的を使わず、自然の防虫剤を使っていますが、効果はよくないので暑くなると虫が発生するリスクがあるんです。なので冷蔵のコンテナなど施設に投資しています。

加賀 私たちは3度から5度くらいで貯蔵しています。もともと含水率が15~16%くらいなので。

ジャン社長 そうですか、カガセイフンのところで温度管理を行っているのですね。フランスの場合、ガレット店やレストランのシェフが水温に気を遣っています。粉と水を混ぜたときに差が出ないように、粉に温度のショックを与えないように。良いガレットを作るためには、まず水と粉の温度差に注意をしないといけない。良いガレットを作る評判の店や大量の枚数を作るレストランでは水を温める装置をつけていますね。暑いときには下げ、寒いときには上げるように。冬のガレット粉は0度くらいになっています。温度差はなるべく少ないほうがいいからでしょう。

私たちもクレーピエも粉の含水率に気をつけないといけません。特に粒子。粉のストック期間が長くなるほど水が入りやすくなります。水が粒子に入れば良いガレットが焼けます。

そのため顧客は製粉業者に1カ月や2カ月のストックを求めるのです。フレッシュな粉(挽き立て)ではよいガレットが焼けません。評判のガレット屋さんは生地にすごくいい色がついています。より濃い色にするために生地(タネ)を作って2日くらい寝かせている。それ以前に、ガレット粉の状態で2週間から3週間おいておくのです。私は15日間程度でいいと思っています。ロンシン製粉所ではガレット粉に対して特別な処理はしません。フレッシュな粉ですとキュキュっと縮んだようなガレットになり、時間をおいた粉は柔軟性が出てくる。ガレット粉には大気中の湿度も関係します。

加賀 粉を挽いて袋詰めをした状態で15日間も置いておくのですか?

ジャン社長 そうです。サイロのなかに置いておいても大丈夫です。顧客によっては入れておいてくれという人もいます。あとで顧客が水分のコントロールをします。

加賀 福井県の在来種でもできそうな気がしますね。福井でも乾燥させた原料を仕入れて15日間寝かせてみて考えてみたい。だいぶ状態が違うと思います。ロンシン製粉所もそば粉を見ると、カガセイフンの粉よりは乾燥していますが固まるんだから含水率が10%あると思います。品種の差ではなさそうです。

日本のそばは逆に乾いてはいけないんですよ。フレッシュなものほど粉の香りがよく分かる料理です。ロンシン製粉所さんが思う良いガレットとは何か、教えてくださいますか?

ジャン社長 お聞きすると、日本の蕎麦(麺)は生地を寝かせる意味もあって、香りを出すため厚い生地にして手で叩く製法なのですね。ガレットでは、プラスチックのバケツの中にガレット粉を入れて水を張った状態で5度の冷蔵庫に入れ、次の日に取り出す。そして固まった生地を常温に戻すことによってまた再発酵するので味がでます。パンと同じです。新鮮な生地ですとガレットの生地はまだ真っ白。2~3日経つとキャラメルのような色になります。より良くするにはハチミツを少し入れるのがポイントです。それによって香りには貢献しませんが味に深みが出ます。

We talk about farine de sarrasin,ble noir and galette.Minoterie de Roncin S.A.R.L Henri TUAL,131.

ジャン社長 例えば玄そば1㎏からそばの麺用粉はどれくらいとれるものなんでしょうか?

加賀 だいたい全粒粉ですと7割(約700g)くらいです。

ジャン社長 7割ですか、結構高いですね。白いそばは残留物が少ないのですごく白い。そばの種によっては保存ができて高く売れる。よりよい保存の度合いは22%くらいが平均だと思います。ブルターニュ固有の種でしたら平均76%くらい。普通にやると粉に色がつかないので後から足しています。つまり殻を足すようにしているのです。この作業をする下請けの業者の費用が高くてねえ。最終的に粉より高くならないように。粉よりも安くするように業者に伝えているんですが…。注意しないといけないのは殻がきれいになっていること。有機のものでないと殻を使った製粉はできません。例えば農薬が残っていると出荷はできずNGです。

加賀 日本では駅そばやスーパーの安売りそばなどは殻で色付けしていますね。小麦粉にそばの殻の粉や着色しただけのほぼうどんです。日本そばに使用するそば粉とガレットの粉は別物だと分けて考えないといけませんね。フランスの場合、ガレットの品質は国の定めた基準に厳格です。乾燥率が12.5%以下じゃないとだめだということが分かりました。福井県だと15.5%以下です。ロンシン製粉所さんでは、そば粉の色はどのように調整しているのでしょう?

ジャン社長 とにかく全部細かく挽きます。殻もすべてもう一回挽き直し、抽出の度合いを上げます。ブルターニュで栽培されている在来品種は、粒が細かい上にサイズがまちまちです。全粒にしますと比較的、粒の大きなものは内層~中層の比率が多いので、全体に色が白っぽく挽き上がってしまい完全に色だけ白くなります。しかし、小さい粒は内層~中層の比率が少なく微粉になりやすいので黒っぽくなり色だけ濃くなります。防虫剤を使わない虫対策も考えています。

加賀 何種類くらい粉を挽き分けるのですか?

ジャン社長 まず濃い色(小粒で微粉)と薄い色(中粒~大粒)を1:1で分けて、その後濃い色を調整します。細かい粉を足すと、より黒い色になるんです。そば粉を混ぜて練ることでエネルギーが付加されるからです。

 

==Minoterie de Roncin (ロンシン製粉所)を訪ねて その2へ続く

We talk about farine de sarrasin,ble noir and galette.Minoterie de Roncin S.A.R.L Henri TUAL,40.

夜は一睡もできないくらい大興奮の視察。ロンシン製粉所はとても真摯にブルターニュのそば文化について話してくれてとてもありがたかった。

機械製粉の工程に関しては日本とたいして変わらない、むしろ日本の方が進んでいるくらいだ。玄そばを皮付きのまま全粒でロール製粉にかけているところは興味深かった。日本では脱皮して抜き実を石臼またはロール製粉するのが一般的。在来種「ラ・アルプ」と「ジタ」を実際にまじまじと見れたことも収穫だった。

ブルターニュのソバ栽培(気候、播種時期:福井とほぼ一緒)から、日本では考えられない製法を取っていたことが驚いた。例えば

▽乾燥調製……日本では15%前後だが、フランスでは14%以下に仕上げないと製粉業者が受け入れない。カビ、虫、害虫対策のため。

▽製粉と製粉後の保存……ジャン社長は熟成させて含水率を下げると話していたが、それを熟成と呼べるかどうかは不明。

などなど、日本そばの文化とガレット文化は製粉そのものに関して固定観念を外して、分けて考えないといけない。

フランスで厳しく管理されている一般的な収穫後の玄そばの乾燥調製は、日本では著しく品質を下げる「過乾燥」になる。乾燥調整したら日本ではなるべく早く消費して新そばの香りを楽しんでもらうよう努めている。しかしフランスではすぐに製粉せず、1年以上寝かせてから製粉するという。日本では大切な「挽きたて」がフランスでは最も良くないようだ。

過乾燥の玄そばを製粉後に1年以上寝かせて乾燥させ、そば粉を落ち着かせる製法。それがガレットにした時の香ばしさになる。過乾燥だからそば粉もサラサラとしていて水との馴染み具合がいいのかもしれない。福井県産とブルターニュ産では品種、土壌、気候など栽培も全く違うので、フランスと同じように福井県産(福井在来種)乾燥させて製粉しても同じようにはならないだろう。

取材協力
【Minoterie de Roncin(ロンシン製粉所)社長様】

Minoterie de Roncin S.A.R.L Henri TUAL

B.P.4 – 56801 Ploërmel Cedex

TEL: +33 2 97 74 01 37

fax:  +33 2 97 74 06 00

http://www.minoterie-de-roncin.fr/

○クレープリー・グルマンの会

http://www.creperiesgourmandes.com/

○BléNoir Tradition Bretagne協会

https://www.blenoir-bretagne.com/

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