おはようございます。
先日の勝山そば店さんに引き続き、信州そば個人プレーをお届けします。
今回も同じく茅野市のビーナスラインに乗って蓼科湖方面へ進んだ江戸前寿しと信州手打ちそば 呉竹房(茅野市米沢)さんにお邪魔しました。
入り口がちょっと小さくて入りづらいかもしれませんが、ガソリンスタンドを目印に斜め向かいに大きな看板が見えますので分かりやすいです。こちらも同じく八ヶ岳蕎麦切りの会会員店で、今回はこの会員店を中心に回っています。
店内に入るとレジを境に左手(写真:奥の入り口)が江戸前寿しのスペース、そして右側(カメラを構えている位置)が蕎麦スペースと、親子でお寿司とお蕎麦をそれぞれ担当を分けて両方を楽しむことができるお店です。
こちらが蕎麦スペース(レジ側からの写真)。
どちらに座っても両方楽しめると思いますが、蕎麦をいただくならこういう雰囲気の方がしっくりきますね。
冷たい蕎麦とうどん、温かい蕎麦とうどん、季節の変わり蕎麦まで幅広いラインナップ。
メニューと蕎麦の組み合わせを考えるとなかなか一つに絞りきれませんが、「何をどう食べようか・・」という選ぶ楽しさがあります。こういう時間が結構好きなんですよね。
呉竹房では、3種類から好きな蕎麦を選ぶことができる
呉竹房さんでは黒い挽きぐるみのお蕎麦から白い丸抜きのお蕎麦、そして更級の変わりそばなど豊富な蕎麦メニューがあり、通常メニューでは黒そば・白そばを好みに合わせて指定することもできるそうです。そばっ喰いにはたまらないですよね。
更科そばとは、蕎麦の実の中心部分のみを製粉した更科粉(御膳粉)を熱湯で打ち上げる「湯ごね」という特殊な技術を用いた純白の蕎麦なのですが、信州ではこの更科そばが一般的だというのが僕のイメージでした。でも実際に更科粉を100%使って湯ごねで打つ更科そばを提供しているお店は少ないそうです。ほとんどのお店では更科そばと言いつつも皮を剥いた”丸抜き”を製粉したそば粉で打った蕎麦で、白っぽくはありますがいわゆる「更科粉を使った更科そば」ではないとのこと。近年はそれらが一括りになりつつあるようです。
更科そばを打つための特殊な技術を取得する時間や経験、そして更科そばは1日持たないので打ったら数時間のうちに消費しないといけないという更科そば特有の短所が今の状況下にあるのかもしれませんね。
更科そばが夏場に最も打ちやすくなる理由とは・・?
夏場はソバの品質が悪くなりやすい季節ですよね。加えて気温が高いから水分の乾燥が進んでそば打ち自体も難しい。普通なら夏場にいかに美味しい蕎麦を提供できるかがそば店の腕の見せ所でもあります。でも、呉竹房さんではむしろ夏の方がいいお蕎麦が提供できるんだそうです。
それはなぜか・・?
それは、「夏場の気温」にあります。
「湯ごね」と言っているんですから一番の敵は寒さや冷たさですよね。夏季は熱湯が冷めにくいから更科粉全体に熱が均等に行き渡るため一気にそば粉のデンプン質が糊化(アルファ化)でき、スムーズに打ち上げることができるそうです。逆に通常のそば打ちで一番理想的な冬場に難しくなる。そば打ち場は氷点下になり、こね鉢も冷たい。熱湯を注いでもすぐに冷めてしまって糊化させるのが大変なんだそうです。
呉竹房6月の変わり蕎麦は「ごま切りそば」
純白の麺線にぶつぶつと浮かび上がる黒ゴマのホシがとても涼しげですよね。
とても滑らかな麺の肌と噛むときのプツン!っと切れる歯切れの良さ。そして噛んでいくとゴマのほのかな香りとそばの上品な甘みが感じられる。
福井感覚だとおろしそばで食べるのが当たり前なので、出汁や大根の香りに負けない力強い蕎麦に仕上げています。そのため香りが弱く噛みごたえも薄いこういったお蕎麦はあまり評価されません。「信州のお蕎麦は白くて香りもないしあまり美味しくない」という意見が多数です。
でも、自分の物差しで評価せずに額縁をいったん外して、「こういうお蕎麦もあるんだ」「この蕎麦の美味しさはどういったところにあるのか」「どんなそば文化があってこのお蕎麦なのか」というようなところから、更科そばを見つめてみると色々な発見がありますし、蕎麦がもっと面白くなると思います。
ゴマ切り蕎麦は更科粉を熱湯で湯回しした後にうちわや扇風機で熱を冷ます。そこにつなぎ粉とすりこぎで粗めに擂った黒ゴマを加えてまとめる。あとは通常のそば打ち通りのして、たたんで、切る。
口で言うのは本当に簡単です。たった2行で終わっちゃいますが、実際に打つには熟練の技術が必要です。7月は「しそ切りそば」でこちらも美味しそうです。福井では滅多に食べられない更科の変わり蕎麦なので、県外で変わり蕎麦に出会うとついつい頼んでしまいます。
呉竹房さんは、中央本線:茅野駅から蓼科湖方面へ進み白樺高原、蓼科高原、車山高原、霧ヶ峰、美ヶ原高原と信州ならではの素晴らしい景色を楽しめるドライブコースの「ビーナスライン」沿いにあります。バイクでツーリングしながら途中途中で休憩しつつ旨いお蕎麦を食べて温泉に入って・・最高ですね!何でもっと若いうちに知っておかなかったんだろうとちょっと機の逃した感じがして悔しく思いました。
更科文化のない福井育ちの僕ですが、今回の蕎麦巡りで更科そばの奥ゆかしさや素晴らしさを改めて感じることができいい勉強をさせていただきました。お忙し中、美味しいお蕎麦と楽しいお話を聞かせてくださった矢野さん、本当にありがとうございました。
[江戸前寿しと信州手打ちそば 呉竹房]
〒391-0216 長野県茅野市米沢3802-1
TEL:0266-72-6701
◆営業時間◆
10:30~22:30
◆休業日◆
毎週木曜日
◆駐車場◆
10台
[7月22日(水)]
天気:曇り
石臼工場内室温:25℃
石臼工場内湿度:59%
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