僕は「渋谷」というとガレットの激戦区で技術的にも品質的にも非常に高いイメージがあります。どのお店も基本を大切にしながらもお店ごとに独創的なガレットを作り出しているように感じるからです。このお店もその一つ↓
新宿から小田急線で2駅進んだ「参宮橋駅」から徒歩1分のところにあるメエボニータ (meeBonita)さん。
世界をめぐり、料理やワイン、ガレットを都内、数か所で修行してきたという明るい女性店主からはエネルギーが溢れていて、同じ空間にいるだけで元気が出てきます。フランスにも行かれたことがあるそうで、本場の雰囲気が感じられるガレットメニューが並びます。
カウンター越しに目につくこのガレットパンは、日本では正規取り扱いのないガスを熱源にしたフランス製。400℃近い温度にまで鉄板を熱することができ、高温度帯で一気に焼き上げることによって本場ブルターニュのサクッとした歯触りとパリッとした触感を楽しむガレットを焼くことができる優れもの。鉄板なんて誰も気にも留めないでしょうけど、こういう特殊な道具がポンっと置いてあることに店主のガレットに対する強いこだわりを感じます。
お願いしたのは、Herborie(1,600円)というスモークサーモンとサワークリームのガレット。3日寝かせて仕上げるという生の生地はしっかり熟成していて、鉄板に生地を落とした時のジュワワワワ~という高い音や湯気とともに立ち上る香ばしくも酸味のある香りは僕がブルターニュへ行ったときに見聞きしてきたものにとてもよく似ていて、日本でこの音や香りを楽しめるとは思っていなかったので、嬉しくなって一人でニヤニヤしていました。
焼き上がりも見事!
茶色のガレットにたっぷりのフレッシュハーブ(ディル、ミント他)のコントラストが映えて、さわやかな香りがとても清々しい。ガレットでさわやかな気持ちになったのは初めてかも笑
熟成発酵が進んだ生地は発色も十分で、ブツブツと浮かぶ粗粒はいかにもブルターニュ!といった感じがします(実際は写真よりも生地の色が濃いです)。この粗粒が浮かぶ生地がブルターニュのいわゆる田舎ガレットの大きな特徴で、日本そばの粗挽きそばと同じような感じなんですが、素朴で香りが強くて味わい深いので生地だけでも美味しい♫
ハーブやサーモン、サワークリームなど水気を含む食材がたっぷりと包まれているのに最後までサクサク感が楽しめるのは、高温で焼き上げるのはもちろんですが、やっぱりクレーピエの技術が素晴らしいんだと思います。
中華料理では「甘・辛・酸」のバランスが大事だと言いますが、このガレットを同じように例えるなら、「甘・酸・香」でしょうか。ハーブやサーモン・チーズの甘味と香り、サワークリームと生地の酸味と香ばしさが3味一体となって、味のバランスがとてもいいです。
お昼過ぎに入ったにも関わらず、入れ違い立ち代わりでお客様が来店され、お客様同士がとても仲がいい。お店で知り合って仲良くなれる雰囲気は酒飲み&美味しいもの好きにはたまりません♫
次、伺うときにはおススメのBIOワインなどいただきながら、おしゃべりしたいなーと思わせてくれる楽しいお店でした。
[メエボニータ (meeBonita)]
住所:東京都渋谷区代々木4-1-5 参宮橋駅前ビル 3F
電話:050-6871-5970
営業時間 14:00~23:00
定休日:月曜日
▼Pen Magazine(web版)に紹介されています
大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。