福井在来種そばを楽しむ、第2回ふくいのそばを食する会@九頭龍蕎麦(神楽坂)。

福井県が誇る「福井在来種そば」を全国に広くPRしよう!という趣旨のもと、福井県(行政)をはじめ、福井県内そば店や我々、地元製粉業者が東京に会し、『第2回 ふくいのそばを食する会』が今年も盛大に開催されました。

会場は昨年に引き続き、神楽坂にあります九頭龍蕎麦。福井の食材をふんだんに使ったお蕎麦や福井出身のオーナー自ら買い付けた希少な地酒がそろい、冬季は季節限定のせいこ蟹なども味わえます。

福井在来種そばを楽しむ、第2回ふくいのそばを食する会@九頭龍蕎麦(神楽坂)
会場には雑誌社、フードライター、農業関係者、そば関係者、料理研究家などなど、多方面からたくさんのご参加をいただきました。

福井在来種そばを楽しむ、第2回ふくいのそばを食する会@九頭龍蕎麦(神楽坂)

ここで福井のそばが全国に誇れるものであり、素晴らしいと感じる理由をご紹介したいと思います。

・県全域で在来種のみを栽培していること(一部を除いて他品種の栽培は行っていない)
・生産者の意識が高いこと(在来種を栽培する独自のノウハウを持っている)
・昼夜の寒暖差によって小粒ながら味の濃いソバが育つこと
・県内製粉業者すべてが石臼製粉のみ行っていること(機械製粉はしていない)
・福井県の気候がソバの加工に適していること(気温が低く多湿なので加工による品質低下や乾燥が起こりにくい)

また、福井県内にあるそば店が美味しい理由としては、
・製粉所が近くに存在するので、上記の玄そばや挽きたてのそば粉が手に入りやすいこと
・白山水系のミネラル豊富な地下水でそばを打ち、茹で、出汁を引くこと

それからソバ振興に関しては他県ではなかなか実現が難しいと言われるのが、行政、生産者、そば店、製麺所、製粉所などの横の連携ができているということが福井の最大の強みなのかなと思っています。
生産者はいいソバを作って、そば粉屋は石臼で挽いて、そば店はおいしい蕎麦を提供して、ソバが不作だったり病気が出た時は行政の保証や講習会が開かれる・・というのは他でも普通というか一般的な流れだと思いますが、福井では横のつながり同士がそれぞれ意見交換したり、勉強したり、時には協力し合ったり、叱咤激励したりと美味しい蕎麦を作るために業界を超えて積極的な交流が行われています。

そんな福井で育った在来種のお蕎麦が2品でました。
まず、山間部の大野市で栽培された「大野在来種」を石臼で細かく挽いて細打ちにしたせいろ蕎麦。これは辛汁で味わっていただきました。

福井在来種そばを楽しむ、第2回ふくいのそばを食する会@九頭龍蕎麦(神楽坂)
在来特有の香ばしくも華やかな香りと後から追いかけてくる甘味・・そして香りの余韻。
出汁が無くても最後まで美味しく食べられるくらい味が濃いのが在来種と特徴。まだ福井のお蕎麦を食べたことがない方にこそ、この味わいを体験していただきたいです。

次に同じ大野在来を粗挽きにして、太打ちにしたお蕎麦。
これは福井スタイルのおろしそばにして味わっていただきました。

福井在来種そばを楽しむ、第2回ふくいのそばを食する会@九頭龍蕎麦(神楽坂)
原料は同じでも挽き方が変わるだけで蕎麦の性格ががらりと変わり、ガツン!と蕎麦が感じられる野趣あふれる味わい。大根おろしの辛味や香りに負けないソバの風味と噛むほどに出てくるソバの甘みがたまりません。

最後に蕎麦がゆです。
茹でたそばの実にカツオを効かせた出汁をはったシンプルなもの。添えられた薬味は、上から時計回りに福井梅のたたき、越前海岸の海苔、勝山水菜のおひたし、そばあられ、だし昆布の佃煮、本生わさび、小鯛の造り(中央)。

福井在来種そばを楽しむ、第2回ふくいのそばを食する会@九頭龍蕎麦(神楽坂)
箸休めにはそば粉を使ったスロベニアの郷土料理が出されました。
スロベニアは日本ではあまり知られていませんが、実は一大そば産地でそば食文化の根強い国なんです。主に栽培するのは日本では主にそば茶に使用されている韃靼そば(苦そば)で、有機・無農薬栽培が中心だそうです。このお料理は初めて食べましたが、キッシュのようで固めのそばがきのような食感で美味しかったです。

福井在来種そばを楽しむ、第2回ふくいのそばを食する会@九頭龍蕎麦(神楽坂)
各テーブルには私ども製粉業者やそば店主など、いわゆる福井出身の専門家が一人ずつ着き、福井県産そばの認知度と理解度を高めていただけるよう努めさせていただきましたが、気づけば会場中が食事の合間合間に他のテーブルへ移動され、福井のそばを中心とした交流や情報交換をしていただいていたようで、とても有意義で大変勉強になりました。

福井在来種そばを楽しむ、第2回ふくいのそばを食する会@九頭龍蕎麦(神楽坂)

お昼時の短い時間ではございましたが、昨年に引き続いて色々な方々とのご縁をいただいて、東京では福井のそばがどのような認識を持たれているのか深く知ることができたことで、今後の課題や対策を考えるきっかけになったことは大きな収穫です。この経験を大切にして、福井の在来そばをさらに盛り上げていきたいと思います。

この度のふくいのそばを食する会にご参加いただきましたゲストの方々をはじめ、ご協力いただきましたすべての関係方々に心より御礼申し上げます。

ありがとうございます。

また、今回の内容を以下のようにご紹介していただきました。
心より感謝申し上げます。

■pen on line(2020/08/28)
大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

■日刊ゲンダイDIGITAL版(2020/02/16)
県をあげて在来種を守る 福井県はそば打ち愛好家の“聖地”

■W LIFE(2020/02/16)
「食は地方にあり」福井そばの魅力に驚く

■農業協同組合新聞【電子版】(2020/02/13)
在来種の美味しさをアピール 福井のそば、東京で「食する会」

■食育スペシャリスト中村詩織 “食べることは生きること 笑うことは満たすこと”(2020/02/13)
【ふくいそばを食す会】

■田沼敦子公式ブログ(2020/02/13)
「ふくいそばを食す会」

■昨年(2019年)の記事はこちら↓
福井在来種の蕎麦を楽しむ「ふくいのそばを食す会」が東京・神楽坂の九頭龍蕎麦にて開かれました。

加賀 健太郎 について

年間100店以上の蕎麦店を食べ歩き/蕎麦を食べてソバの挽き方を考える/ミシュラン星付き店へのそば粉納品事例多数/自社で開発した福井県産そばのガレット粉を本場フランス・ブルターニュでプレゼン/出張先では「体のどこを切っても蕎麦が出てくる」くらい蕎麦を食べ歩く ■ブログ→ http://kaga-seifun.com/sobako/
カテゴリー: 粉奈屋六代目の足あと タグ: パーマリンク