3月6日(水)、そばの消費量が多い東京都内の実需者等を対象に、講義や試食などを織り交ぜたプロモーションイベント「ふくいのそばを食す会」が東京神楽坂にある そば・郷土料理 九頭龍蕎麦さんにて開催されました。そば産地福井の生産環境、生産技術、在来種の特性等をPRし、産地ブランドとしての認知度を高め、県産そばの流通・消費拡大を図ることが目的です。我々、福井のそば粉屋も4社が集まりこのイベントを盛り上げました。
九頭龍蕎麦さんでは、自家製粉した福井県産そばの使用にこだわっており、越前漆器や越前焼、越前和紙といった福井の伝統工芸品をふんだんに取り入れた繁盛店で、店主自ら蔵元を訪ね歩いて取り寄せている地酒は福井でも味わえないものも多数揃えてあります。
会場には食に精通している関係者の方々が30名以上お越しいただきました。みなさん初めて知る福井のそば事情や在来種の話に耳を傾けてくださり、メモを取る方や説明を録音される方など、我々以上に真剣に表情に身が引き締まる思いでした。
中央のテーブルには、福井県内で収穫された在来種のそばの実(玄そば)が4種類と品種改良された玄そばが1種類の計5種類が展示されました。左から大野在来種、美山南宮地在来種、丸岡在来種、今庄在来種、そして夏に収穫されたキタワセ種です。
福井県では在来種のみ栽培しておりますが、夏の時期だけは一部の圃場でキタワセソバを栽培しています。なぜ夏はキタワセで在来じゃないのかと言いますと、福井在来種は秋型で夏向きではないからです。夏に在来を植えても花は咲きますが実を結びません。
さて、まずは福井在来種と改良品種の香りの違いを感じていただくために「そばがき」ならぬ、「椀がき」作り体験をしていただきました。そばがきは小鍋にそば粉と水を入れて火にかけ、少しずつ練り上げていきますが、椀がきはお茶碗にそば粉を入れて熱湯を注ぎ、一気に掻き上げます。この時に熱によって沸き立つソバの強い香りを感じていただこうという趣向です。
そば粉は福井在来種(大野在来)と改良品種(キタワセソバ)の2種類。
グループごとに体験していただいて、どのテーブルからも香りの違いについて声が上がっていましたが、在来種については「甘い良い香り!」というお声が上がったのが嬉しかったですね。
続いて今回のメインとなるお蕎麦の食べ比べ♪
福井県在来種そばを使い、挽き方・麺の太さの異なる2枚のそばを実際に食べ比べてもらうことで、在来種の持つ特徴と福井の食文化を深く理解してもらおうというもの。
1枚目は、細かく挽いたそば粉を細打ちした「せいろ蕎麦」。
皿は越前焼、お盆と箸は越前漆器。お蕎麦のほんのり緑色が写真では伝えられませんが、実によく映えます。
喉越しでいただく細打ちそばは、鼻から抜ける在来種特有の香りがたまりません。
お出汁はつけずにそのままで十分美味しい。合間に出汁を口にちょっと含むくらいで十分です。
2枚目は粗く挽いたそば粉を太めに打った「おろし蕎麦」。
こちらはこちらで噛むほどに穀物味があって味わい深い。
みなさん、つけ蕎麦スタイルで食べていたので、ぶっかけスタイルでも楽しんでいただいたら、蕎麦、大根おろし、ネギ、かつお節の一体感に驚かれていました。蕎麦の香りは大根やネギの香りでぼやけてしまいますが、やっぱり三位一体となったぶっかけおろし蕎麦は最高に美味いですよね。
参加者がそばを食べ終わる頃に地酒とちょっとしたおつまみが出ました。
一番上から時計回りに、まぐろのそばの実とろろがけ、小鯛の笹漬け、カニ身のにぎり、上庄里芋の煮っ転がし。最初は華があるカニに歓声が上がりましたが、食べ終わった後は一番地味な「里芋が美味しい!」という声が多く聞こえました。海老芋に似たねっとり食感と素朴な土の香りは日本人の心をくすぐりますね。
私たち製粉業者がそれぞれのテーブルに分かれて福井在来種の良さや素晴らしさはもちろん、福井の食の豊かさや奥深さなども一つ一つ丁寧にお伝えすることによって、来場者の方々にちゃんと福井を知っていただけたのではないかと思います。また近いうちにこのような機会を設けて福井の食を発信し続けていきたいです。
▼翌日の県民福井(首都圏だより)に掲載されていました。[2019.3.7]
都内で県産そば舌鼓 食す会
福井県産のそばをPRする試食会「ふくいそばを食す会」が6日、東京都新宿区の九頭龍蕎麦本店であった。都内のそば店主や料理家、雑誌編集者ら約30人が招かれ、県産在来種で作られたざるそばや越前おろしそばが振舞われた。
試食会を主催した「福井そばルネッサンス推進実行委員会」の会長で自身も福井市でそば店を営む宝山栄一さん(62)が「福井のそばはワインで言えばブルゴーニュ、コーヒーで言えばキリマンジャロ。福井にはそれだけ誇れるそばがある」とアピール。参加者らは宝山さんの説明を聞きながらそばを試食し「香りが強くて、味もいい」などと感想を言い合った。そば店主からは「年間の生産量はどれくらいですか」などの質問も相次いだ。
主催の実行委は、県内のそば店や製粉会社などでつくる各組合や連絡協議会、県と県内8市町などで構成。県産のそばの販路拡大を図るため、都内で初めて試食会を開催した。
▼福井新聞にも掲載されていました。[2019.3.13]
福井のそば 東京でPR 編集者、店主招き食す会
東京で福井県産ソバの知名度アップと消費拡大を図ろうと、「ふくいそばを食す会」が6日、東京・神楽坂のそば店で開かれた。食に関する雑誌の編集者、都内のそば店主ら約30人に打ちたてのそばを振舞い、香りと味の良さをPRした。
県、生産地の8市町、生産者団体などで作る「福井そばルネッサンス推進実行委員会」が、食総合プロデューサー金丸弘美さんの協力を得て初めて企画した。
同実行委の宝山栄一会長が「注目を集めている福井のそばを味わってもらいたい」とあいさつ。斉藤製粉所(福井市)の齊藤稔社長が県産ソバについて「昔ながらの在来種を県下全域で栽培している。多くの在来種が残っているのは福井県だけ」と紹介。小粒で皮が薄く実が詰まっているのが特徴と話し「香り、味に深みがある」とアピールした。
参加者はそばがきづくりを体験した後、おろしそばとざるそばを地酒と共に堪能。江東区にそば店を構える田中栄作さんは「他県のソバに負けないブランド力があると思う。東京のお客様にもPRしたい」と話していた。
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・農耕と園芸オンライン[カルチベ](2019.3.20)
香りと味が引き立つそばにこだわる!「ふくいそばを食す会」で出逢った在来種の魅力
・JURACA(2019.03.13)
福井のそば、東京でPR
[そば・郷土料理 九頭龍蕎麦]
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂3丁目3
TEL:03-6228-1886
営業時間:[月~金] 11:30~14:30(LO14:00) 17:30~23:00(LO22:30)/[土]12:00~23:00(LO22:30)/[日祝]12:00~21:00(LO20:30)
定休日:不定休