「不智(しらず)」内は半人前。智識と経験から自信と信頼が付いてくる。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

昨年、初めて参加させていただいた大人の書道教室グループ展が今年も大安禅寺にて2015年10月17日(土)~19日(月)の3日間行われ、今回も引き続き作品を書かせていただきました。

大人の書道教室グループ展 2015年のテーマは「嘘」

あなたにとって”嘘”とはどんなものでしょうか。
嘘を自分に落とし込んで生徒一人一人が墨と筆で表現する。

僕は嘘というとマイナスイメージを持ってしまいますが、今回のグループ展では必ずしもマイナスではなく、人によってプラスに捉えていたり自分を守るためのツールであったり、はたまた嘘と共に生き、時に対峙しているというか、まさに自分自身だ!という想いが伝わる作品ばかりでした。

何事も智識と経験があって自信や信頼が生まれる。「不智(しらず)」内は半人前。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

何事も智識と経験があって自信や信頼が生まれる。「不智(しらず)」内は半人前。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

紅葉が始まりかけた10月中旬。
この日は気温は低いけど日が差して温かいというお天気に恵まれて、自然を楽しみながらボーっとするにはとてもいい日。

何事も智識と経験があって自信や信頼が生まれる。「不智(しらず)」内は半人前。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

風で気が揺れるたびに漂う木や葉の香りとざわざわした音が癒しの効果を倍増させます。
そういえば以前、誰かからこんな話を聞いたことがあります。

「海は浄化、山は癒し」

波の音や動きは人間のもやもやした感情やストレスを吸い取るように流してくれて、山は緑や香りなどのマイナスイオンによって体をリラックスさせてくれる。片方でもいいけど、最初に海に行ってから山に行くとより効果が高いんだそうです。

何事も智識と経験があって自信や信頼が生まれる。「不智(しらず)」内は半人前。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

大安禅寺内の各部屋には生徒さんそれぞれの「嘘」を表現した書と説明書きが展示されていました。

「不智(しらず)」内は半人前。智識と経験から自信と信頼が付いてくる。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺
一つ一つに個性があり、字体や大きさ、太さによって書き手の強い意志が感じられます。

「不智(しらず)」内は半人前。智識と経験から自信と信頼が付いてくる。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

中には造語や造漢字などもあって、なぜそうなったのかという想いをくみ取りながら作品を感じるのが楽しみどころであり、このグループ展の醍醐味だと思います。

「不智(しらず)」内は半人前。智識と経験から自信と信頼が付いてくる。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

そば粉屋の職人として”不智(しらず)”内は半人前。

さて、2015年のテーマ「嘘」。
僕は「不智(しらず)」と書かせていただきました。
この書に込めた想いは・・

「不智(しらず)」内は半人前。智識と経験から自信と信頼が付いてくる。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

石臼でそば粉を挽く職人稼業に3人兄弟の長男として生を受けた僕は、幼いころから家族をはじめ取引先やご近所さんから大きな期待が寄せられていました。子供のころから仕事を見ているので、家業を継ぐということに迷いはなく、日々、口数の少ない父親や破天荒な祖父の背中を見て育ってきました。

いつしか、周りの期待に応えなければならない、期待を裏切ってはいけない、知らないと言うことが相手をがっかりさせるのではないかという不安な気持ちから、無意識に小さい話を大きく表現したり、ソバに関して実際に経験したことが無いことでも良く知っているかのように話したりしてしまうという時期がありました。僕自身は最終的に相手に喜んでもらいたい、笑顔が見たいという感情があったのだと思っています。

しかしある時、旅行先で自分に正直で真っ直ぐで気持ちのいい同世代の人と知り合ったんですが、その人の話は実体験に裏付けされたものでとても説得力がありました。また、自分が知らないことに関しては人の話に興味深く耳を傾ける姿勢にとても感動したんです。
今まで智識(経験)が無いから嘘をついて期待に応えようとしてきたけど、知らないことを知らないと言える方が知ったかぶりされるよりよっぽど信頼できるし、中途半端に知っていることほど薄っぺらいものはない。そして、ただ知識として知っているだけじゃなく、実際に見た、話した、触れた、行ってきた、やってきたという体験談がどれほど相手の気持ちを打つだろうと。

「不智(しらず)」内は半人前。智識と経験から自信と信頼が付いてくる。大人の書道教室グループ展「嘘」@福井市の大安禅寺

これに気づいてから、僕は蕎麦に関係することについて「知っている」という言葉をあまり使わなくなりました。本質を知らないからです。
逆に「知らないから教えて」という言葉を多用するようになり、分からないことは素直に聞いたり調べるようにしました。また、見当はついていても実際やってみないと分からない事も多々ありますから、四の五の言う前に自ら行動して体験するようになりました。

「知っている」という言葉は大げさかもしれませんが、相手を満足させられるだけの知識と経験を重ねて、どんな質問や問題が起こっても対処できるノウハウがあって初めて使えるものではないかと思います。たとえ100%返答できなくても、そこから話を広げ広い視野と経験から答えを導くくらいになっていかないと自分がいづれやる仕事のお客様はプロだから薄っぺらい話や小手先の知識では一発で見透かされてしまいます。

あれから15年以上経ち、今の自分はどう見られているのか分かりませんが、自分が小さなことでも相手のお役に立てることが出来たら幸せなことですし、人の話をしっかり聞いて楽しい事や悩みを共有できたら嬉しいです。これからも越前ふくいのそば文化を継承し発展させていきたいと強く思っています。

今年もご協力いただきましたユッキー先生、小林校長、代安禅寺の高橋和尚、クラスのみなさん、ありがとうございました。楽しかったです!

昨年の大人の書道教室グループ展「かげ」はこちら↓
越前そば粉屋の跡継ぎとして伝統を守り革新するべく「諦める」。大人の書道教室グループ展「かげ」@福井市の大安禅寺

[11月11日(水)]
天気:晴れ
石臼工場内室温:14℃
石臼工場内湿度:51%
———————————-

末吉の越前そば粉オンラインショップ
挽きたて越前そば粉の通販やお取り寄せ、少量のお取引

越前蕎麦粉製造元カガセイフン
業務用そば粉、オリジナルそば粉のご提案、そば粉のサンプル請求(営業店様のみ)、営業店様、法人様のお取引

カガセイフン企業サイト
明治以来、石臼挽きの福井県産越前そば粉をお届けする、株式会社カガセイフンの取り組み

あなたの蕎麦がいい
製粉に命をかける五代目社長と、蕎麦が大好きおかみの日記

※このブログ内の文章や画像を弊社の了承なく複製、使用することを禁じます。

加賀 健太郎 について

年間100店以上の蕎麦店を食べ歩き/蕎麦を食べてソバの挽き方を考える/ミシュラン星付き店へのそば粉納品事例多数/自社で開発した福井県産そばのガレット粉を本場フランス・ブルターニュでプレゼン/出張先では「体のどこを切っても蕎麦が出てくる」くらい蕎麦を食べ歩く ■ブログ→ http://kaga-seifun.com/sobako/
カテゴリー: 粉奈屋六代目の足あと タグ: パーマリンク