板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

本場の板そばと蔵王山麓のそば畑視察のため、山形県に行ってきました。
山形は学生の頃に車で東北を旅したときに少しだけ米沢に立ち寄った程度でほとんど未知の世界。
板そば、さくらんぼ、米沢牛、蔵王山と姿かたちは違いますが、福井のおろし蕎麦、越前ガニ、若狭牛、など、名物が似ていて親近感がありました。

山形はそば処として有名で、蔵王山麓で栽培される「でわかおり」は日本トップクラスの品質であることはよく耳にしていたので、一度はちゃんと訪れてみたいと思っていた県でした。今回はそのでわかおりと板そばをお腹いっぱい食べて山形のそば文化を体感し、福井の越前そば文化に生かしたいと思っていました。

福井から山形までは乗り継ぎ待ち合わせを含めておよそ6時間半。
JR線で金沢まで行き、北陸新幹線で大宮駅にて乗り換え山形へ。福井-東京間を1往復半できると思うとすごく遠い所へ来たもんだなとつくづく思います(笑) しかし、大宮駅で始めてみたハヤブサには撮り鉄でも乗り鉄でもない僕でも興奮しましたね。

板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

山形新幹線村山駅を下車して直行したのは、フランス政府認定世界トップ1000レストラン「ラ・リスト」に東北で唯一、選ばれた「あらきそば」さん。恥ずかしながら認定されて初めて知ったお店で、名物の板そばとにしんの味噌煮をいただきに来ました。

板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

茅葺屋根を見ながら暖簾をくぐると囲炉裏とお母さんたちの笑顔が迎えてくれます。
低い天井、障子戸、畳の香り・・お店というよりもまるでおばあちゃん家に来たような落ち着く雰囲気。

板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

板そばとは・・

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昔大きな長い板や木箱にそばを盛り付け、農作等の共同作業や集会後に振舞ったのが由来とされている。
本来は大きな木箱に盛られた山形風田舎そばを、複数の同席者で分け合って食べられていた。また、一緒に食べた人との仕事や人間関係のご縁が、水(縁)がこぼれ落ちる「ざる」ではなく、早く「板」に付きますよう(順調になりますように)との願かけと、細く長くそばに居られますようにとの縁起を担いで、「板そば」が振舞われ、仲間が揃った時に食べる縁起のいい〆の食べ物とされている。※Wikipediaより引用
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板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

「定」と書かれたメニューには、うす毛利(もり)、むかし毛利と板そばの量とお値段が書かれてあります。こういう筆文字がお店をさらに演出しますよね。そして忘れてはいけないにしんの味煮!

板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

さて、念願の板そばがやってきました。
そば打ちに使う木舟より一回り小さい入れ物に薄らと盛り付けられた太打ちのお蕎麦。パッと見、量が少ないように見えますが結構なボリュームです。箸休めの山菜の煮物が嬉しい!

板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

「でわかおり」という品種を玄そばの皮ごとの挽きぐるみにしたお蕎麦は、割りばしとあまり変わらない太さで噛み応え十分。ズルズルとすすれないので関東の方には抵抗があるようですが、そばを噛んで食べる越前そば文化で育っている僕にはぴったり。

冷水でキリッと冷やしてあるお蕎麦は噛むほどに歯を押し返すような弾力。最後にプツッと切れるんですが、その歯ごたえ感がまたいい!さぬきうどんのコシとはまた違いますね。

板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

そしてあらきそばのもう一つの名物、にしんの味噌煮。
ますはこのビジュアルにびっくり!

関西風の薄味に慣れている僕としてはこの見た目で胃が重くなってしまいましたが、食べてみるとそんなにしつこくなくて、ほのかな味噌の苦みがあと引くんですよね。で、しばらくにしんを食べているとお蕎麦が欲しくなる。口がさっぱりするとにしんに箸が伸びる・・。これを延々繰り返したくなる衝動に駆られます。お酒があるともう止まらない感じです。

板そばの本場、山形県村山市にあるあらきそばで「でわかおり」を使った挽きぐるみの太打ち蕎麦を味わう。

それにしても山形県民のそば好きには驚きました。
タクシーの運ちゃん、駅員さん、ホテルの受付嬢、道を聞いた通りすがりの人などなど、蕎麦を語り出すと本当に止まらないし、自分の好きなお店を2つ3つ必ず持っている。味の分析や各そば店の評価もとてもすごく信頼がおけるのです。しかも山形のそばを誇りに思っていて、生まれ育った土地の蕎麦が日本で一番美味い!と信じて疑わない。

「福井もそば処なんですよ!おろしそばが有名で美味しいんです。」とお話しするとおろし蕎麦は知っていても残念ながら福井がそば処だという認識を持った人はいませんでした。もっともっと頑張らないといけないなと思うと当時によくよく考えてみれば福井も同じだなぁと感じました。

福井県民も自分の好きなお店を持っているし、あの店はあーだこーだとそばの話をすると長い(笑) で、福井のおろしそばが一番美味しいと心から思っている。しかし、山形がそば処だとは知らない(板そばという名前くらいは聞いたことある程度)。

いづれにしても山形に来て最初のお蕎麦で先制ジャブをもらった感じでした。

[あらきそば]
〒995-0111 山形県村山市大久保甲65
電話:0237-54-2248
営業時間:11:00~17:00
定休日:水曜日

[6月22日(水)]
天気:曇り
石臼工場内室温:21℃
石臼工場内湿度:48%
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製粉に命をかける五代目社長と、蕎麦が大好きおかみの日記
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加賀 健太郎 について

年間100店以上の蕎麦店を食べ歩き/蕎麦を食べてソバの挽き方を考える/ミシュラン星付き店へのそば粉納品事例多数/自社で開発した福井県産そばのガレット粉を本場フランス・ブルターニュでプレゼン/出張先では「体のどこを切っても蕎麦が出てくる」くらい蕎麦を食べ歩く ■ブログ→ http://kaga-seifun.com/sobako/
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