越前そば粉屋の跡継ぎとして伝統を守り革新するべく「諦める」。大人の書道教室グループ展「かげ」@福井市の大安禅寺

こんばんは。

2014年11月22日(土)~24日(月)の3日間、大人の書道教室グループ展が福井市の大安禅寺で行われました。大安禅寺は福井市中心部から車で20分ほどのところにあり、福井藩主松平家の永代菩提所として建立された禅寺です。

このお寺、高校の頃に授業の一環で座禅合宿を行ったとても思い入れ・・苦い思い出があります。
静まり返った空気で座禅を行い、食事はおかゆとお漬物とお味噌汁というよくテレビで映るそのまま。音を立てるのは厳禁で、最後におかゆやお味噌汁の器を1枚残したお漬物で拭き取るようにきれいにしていただくと食事法を教わった後なのに一番最初に2枚しかないお漬物を全部食べてしまって器をきれいにできず喝を入れられました泣

今でも肩がはっきり覚えております・・合掌
そんな話は置いといて、大安禅寺で大人の書道教室のグループ展のお話です。

大人の書道教室グループ展 今年のテーマは”かげ”

自分の「かげ」とは何か。墨で、筆で、生徒がそれを表現します。昨年は「カラフル」というテーマで墨でカラフルを表現するという内容でした。

"かげ"とは伝統を守り革新する越前そば粉屋の跡継ぎとして「諦める」こと。大人の書道教室グループ展「かげ」@福井市の大安禅寺にて。

大人の書道教室は以前にも料理人である道場六三郎さんのお手紙についてこのブログでもご紹介しましたが、とてもおもしろく魅力的な先生とそれを超えるほど個性的な生徒たちが参加しています。

大人の書道教室グループ展「かげ」が、福井市の大安禅寺でありました。

大安禅寺は紅葉が今まさに最高潮。
福井は紅葉する前に雪が降るからか、あまりきれいに色付かないのですが今年は久しぶりに素晴らしい。

大人の書道教室グループ展「かげ」が、福井市の大安禅寺でありました。

お庭から眺める景色が贅沢です。
空気は澄んで山の香りがするし、鳥の鳴き声もほのかに聞こえて日本人の心、わびさびを感じます。

大人の書道教室グループ展「かげ」が、福井市の大安禅寺でありました。

お寺の部屋や廊下などいろいろなところに合計35作品が展示され、人それぞれの”かげ”が表現されています。

大人の書道教室グループ展「かげ」が、福井市の大安禅寺でありました。

西山有紀先生自ら案内してくださり、作品それぞれに込められた「かげ」についてどのような想いで書かれたのか、なぜこの文字、そしてこの字体なのかを説明してくださいました。作者が涙を流しながら書いたというエピソードもあり、とても感慨深い気持ちになりました。

大人の書道教室グループ展「かげ」が、福井市の大安禅寺でありました。

さて、今回のテーマ「かげ」。
僕も僭越ながら作品を書かせていただきましたが、題字が決まるまでの数週間、とてもとても悩みました。
自分って何?今の自分が光(表)なら裏側にある自分は何か?自分は影なのか?ならば光をどう表現する。そもそも光って何じゃ?考えれば考えるほど訳が分からなくなる。もっとシンプルに何も思い浮かべず単純に考えたらどうだろう。全くイメージできない・・。
校長にヒアリングしていただきながら、一つの言葉を導いてもらいました。

大人の書道教室グループ展「かげ」が、福井市の大安禅寺でありました。

物事の本質を”諦める”

「諦める」は、”自分の願いごとが叶わずその思いを断ちきる”という意味で使われます。
でも本来は物事を「明らかにする」とか「本質を見る」「見極める」という意味があります。

僕は今の家業であるそば粉屋を継ぐと決心するまで、また決心した後もたくさんのものを諦めてきました。それは思いを断ちきることも含め、今の仕事をするために何をすべきか、何が必要かを考え、回りの情報だけに囚われず何事も本質を見ようとしてきました。本質を捉えることができればブレずに行動できるし、判断に迷うことがない。

すべて自分のしたこととわきまえることで、自分なりに納得して「諦める」。
日々日常、わが身をしっかりみつめ、すべては自分の欲望や無知によるものだと現状を受け入れて「諦め」れば、解決の方法をみつけやすいし、後でこんなはずではなかったと思うことも少ないと思います。

大人の書道教室グループ展「かげ」が、福井市の大安禅寺でありました。

とは言ってもまだまだ邪念は多いし、正直、文字負けしている部分は否めません。
でも、気持ちを込めて書いた自分の字に恥じないよう、これからもそば粉屋の跡取りとしてこの道を進んでいこうと気持ちを引き締めました。

このグループ展に参加させていただき、自分とは何か?と考えさせてくれる機会を与えてくださったこの書道教室に感謝するとともに、お世話になったゆっきー先生、校長、生徒の皆さん、本当にありがとうございました!

楽しかった。

[11月27日(木)]
天気:晴れ
石臼工場内室温:7℃
石臼工場内湿度:43%

———————————-

末吉の越前そば粉オンラインショップ
挽きたて越前そば粉の通販やお取り寄せ、少量のお取引

越前蕎麦粉製造元カガセイフン
業務用そば粉、オリジナルそば粉のご提案、そば粉のサンプル請求(営業店様のみ)、営業店様、法人様のお取引

カガセイフン企業サイト
明治以来、石臼挽きの福井県産越前そば粉をお届けする、株式会社カガセイフンの取り組み

あなたの蕎麦がいい
製粉に命をかける五代目社長と、蕎麦が大好きおかみの日記

※このブログ内の文章や画像を弊社の了承なく複製、使用することを禁じます。

加賀 健太郎 について

年間100店以上の蕎麦店を食べ歩き/蕎麦を食べてソバの挽き方を考える/ミシュラン星付き店へのそば粉納品事例多数/自社で開発した福井県産そばのガレット粉を本場フランス・ブルターニュでプレゼン/出張先では「体のどこを切っても蕎麦が出てくる」くらい蕎麦を食べ歩く ■ブログ→ http://kaga-seifun.com/sobako/
カテゴリー: 粉奈屋六代目の足あと タグ: パーマリンク