ソバを栽培すると、周りに雑草が生えないという事があります。
それは、ソバが発する特有の成分が他の雑草の生育を妨げる効果があるようです。
そば農家さんに聞いてみたところ、ソバを植えると雑草が生えないというのは知っていましたが、ソバのどんな成分がどう働くか・・という事までは分からず、ただ長年の経験から毎年米作を繰り返している土壌には米作の妨げになる雑草が良く生えるし、麦や大豆を連作している土壌ではそっちよりの雑草がよく生えるので、普段からソバ作していない圃場でいきなりソバを作付しても雑草の抑制効果は低いのではないか?ということでした。
福井県(嶺北地方)の場合で言うと、2年周期で米とソバを交互に栽培しながら合間に大麦や大豆などを作っているところが多く、それによって地力が高まり、ソバの効果もあって極端な雑草の生え方もしないそうです。
とはいえ実際のところはどうなのでしょう?
そこで、ソバのどのような成分がどのように働いているのか調べてみました。
▼播種後、2週間ほど経過したそば畑。
雑草退治の方法として、ソバは「抑草作物」にぴったり。
ソバは根っこから”ある特異な物質”が分泌されていて、それによって他の植物の成長を阻害することができる。また、ソバはできるまでの日数が約75日と言われるほど、種まきから収穫までの期間が非常に短いので発芽も成長も早く共に早く、また葉がよく茂ってたちまち土壌面を被って日陰を作ることができる。この成長の早さがどんな雑草にも勝てる大きな要因である。
「抑制作物」としてソバを植える時に、その土地が瘠せていたら、肥料を少しやって、そばの成長を助長するとなお良いという。アメリカで厄介な雑草といわれているカナダアザミ、ノゲシ、ツルクサ、タカトウダイ、ロシアグルマギク、多年草のコショウグサなども、そばを抑制作物として使えば、それらを根絶できるという。
※参考文献:ソバの科学(新潮選書)長友 大(著)
▼花が咲き始めたそばの畑
ソバ属植物のアレロパシーとソバを利用した植生管理
ソバには、他感物質として没食子酸、ファミゴン他、数種のピペリジンアルカロイドが含まれており、これらの成分には強い阻害作用がある。雑草が発生する前にソバを播種すると、顕著に雑草が抑制される。
ソバの雑草抑制効果を栽培試験によって確認した結果、雑草放任区では旺盛な雑草の発生が見られたのに対し、ソバを雑草発生前に播種した区では、雑草の発生は顕著に抑制される。しかし、雑草発生後にソバを播種した区では、抑制効果が小さい。ソバの下では広葉雑草はほとんど存在しないが、イネ科植物は残存する。
アレロパシー活性とは?
ある植物が他の植物の生長を抑える物質を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称。 邦訳では「他感作用」という。
※Wikipediaより抜粋
まとめ
結果として、やはりソバを栽培すると除草の作用があるようですね。休耕地などの雑草防除と景観向上、最近では町おこしの一環としてソバ栽培を推進する動きが全国で活発なのもこういった特性が関係しているのかもしれません。また、同じ目的でそば皮(殻)を求める方もじわじわ増えてきていまして、雑草が生える場所に播いて放置したり、土にすきこんで(混ぜ込む)お使いいただいています。
農家さんが言っていた「毎年米作を繰り返している土壌には米作の妨げになる雑草が良く生えるし、麦や大豆を連作している土壌ではそっちよりの雑草がよく生えるから、ソバ作していない圃場でソバを作付しても雑草の抑制効果は低いのではないか?」 というのは、あながち間違ってはいないと思いますが、ソバを播種したりそば皮を播いた段階ですでに雑草が育っていた可能性もあるので、遠からず近からずな感じでしょうね。
いづれにしてもいい勉強になりました。
お読みいただきましたあなた様の参考になれば幸いです。