先日、facebookで繋がっている方の投稿で、とあるワイン醸造所を知りました。
その醸造所は自社農園で無農薬栽培したブドウを原料にワインを造り、夏場でも4℃程度の温度帯で保管できる雪室と言われる天然の低温熟成庫を利用してワインを熟成させているとのこと。作物や野菜などの生鮮食品にとって4℃前後の温度帯というのは熟成や追熟するに理想的な温度で、それがほぼ自然の力だけで年中通して低温を維持できている昔ながらの本格的な「雪室貯蔵」に強い興味を持ち、福井県産の玄そばも同じような条件で保管したらどのような効果が出るものなのかを考えるため、実際に見に行ってみようと思っていました。
その醸造所は、新潟県上越市にある岩の原葡萄園。
日本のワインぶどうの父の呼ばれている川上善兵衛氏が1890年(明治23年)に創業した自家農園無農薬ワイナリーです。
雪室(氷室)とは・・
冬場に蔵などの建物の中に大量の雪や氷を貯蔵することで冷温貯蔵庫として機能する専用施設のこと。古代より世界各地で利用されてきた蓄熱施設であり、気候により氷雪が溶けて無くなってしまう高温の時期がある地域や一年を通して氷雪が存在しない地域で利用され続けている。
真夏でも真冬でも約5℃、湿度90%前後の低温・高湿度が維持される雪室は、電気冷蔵庫に比べ、温度の揺らぎが少ないため食品の細胞が傷みにくく、おいしさもしっかり維持できるすぐれもの。また、電気による振動や光を受けない「静置」状態は、食品の旨みを増す低温熟成に最適の環境である。※Wikipediaより引用
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↓こちらがその雪室。
大きな白の扉のある倉庫の中にトラック60台分の大量の雪が貯蔵されています。
↓雪室は地下から2階建ての高さまで目一杯の状態です。
この冷気を利用した低温低湿熟成庫は雪によりワインの乾燥も防げるそうです。
暖冬で雪が少ない年には補助的に空調を使用するそうですが、この岩の原ワインがある土地は海沿いの山間部で夏季でも33度ほどしか気温が上がらないらしく貯蔵庫も半地下にあるのでそもそも庫内の温度が上がりにくい条件がそろっているのだとか。
100年以上の歴史がある石造りの貯蔵庫の壁全体には、カビやワイン酵母が付着して発酵の良い香りがします。密閉率の高い石造りにすることによって断熱効果が非常に高いそうです。庫内の温度は4℃前後。毎日、必ず温度を確かめて年中安定した低温低湿を心がけているそうです。
この穴は冷気隧道という山から冷気を確保するためのトンネルだそうです。
今は未使用となっているそうですが、その昔、人が一人はいる程度の穴を手掘りで山まで掘り進め、山の土中の冷気を熟成庫まで運んでいたらしいのです。日本ワインが全く浸透していない時代に美味しいワインを造るための川上善兵衛氏の情熱はすさまじいものだったと感じることのできる仕事です。
工場裏手に広がる無農薬自家農園。
丁寧に手入れされた農場は新潟の豪雪に負けない工夫が施され、すべて北を向いています。
北向きの秘密は現場に行って聞いてみてください。
見学後は試飲。
僕は運転手だったので香りだけでしたが、この中のレッド・ミルレンニューム2013と2014という白ワインは、ゲヴュルツを使ったワインの香りにとても似ていて爽やかでフルーティで帰って飲むのが楽しみになりました。
今回は素晴らしい醸造所を見学させていただいて得るものが本当に多くてここ数年で一番の収穫でした。
岩の原葡萄園の国産ワインは、雪室を利用した石造りの熟成庫にて低温熟成した逸品だと思います。国産ワインはあまり美味しくないと思っていた僕の考えが変わりましたし、日本のワイン醸造所は世界に誇れるワインを本気で造ろうとしているんだなとその意気込みも伝わってきました。
我々、そばを生業とするものもそうありたい、そうあるべきだと改めて意識することができました。
とてもいい経験でした。
ありがとうございました。
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