おはようございます。
このところ福井市は夏日が続いており、深夜も思ったほど気温が低くなりません。寝やすくて気持ちいいのですが、ソバの生育にとって温度変化の波が極端なのは避けたいものです。11月も中旬を過ぎ、福井県産新そばの収穫を目の前にして今週も大阪、岡山、京都、神奈川など全国各地からそば店様が新そばの生育状況視察のためにご来福いただいております。本当にありがとうございます。
例年ですと10月も後半に入ってくれば生育が早いところから収穫が始まる時期ではあるのですが、今年はまだ動きがありません。昨日、伺ったあわら市の農家さんもまだちょっと収穫は早いというお返事でした。気になったのは「今年はちょっとおかしい」というお話。
「おかしい」というのはどういうことかと聞きますと、台風の影響があった圃場については実が落ちて寂しい状態なのは仕方がないけど、それ以外の比較的被害の少なかった圃場の生育状況が良くないというのです。
寒暖差が開いてくる今の時期になると茎が赤らんできて粒の黒化率も日に日に上がってくるはずなのですが、今年はその動きが目立ってこない。結実した実の黒化率がなかなか上がらず比重も軽いまま実が付いているという感じで、成長が一時的に止まっているような状況が続いているそうなのです。茎も青々としていて赤らみがほとんどないところもあり、この状況をどう見たらいいのかという判断が難しいというのです。
この段階で収穫できないことはないのでしょうけど、比重の軽い未熟な粒がコンバインの中で茎や葉と同じようにはじかれてしまい、せっかくの新そばが刈り損になってしまいます。ソバは他の作物の中でも最も栽培が難しいから一種のギャンブルみたいなものだと農家さんは口をそろえます。しかし、だからこそソバ作りはおもしろいしやりがいがあると言います。
品種改良した品種は天候が多少悪くても比較的手間なく一定量の収穫量があるのかもしれませんが、福井は品種改良を行っていない在来種を無農薬栽培していますので、栽培工程一つ一つに収穫量減のリスクを抱えています。その年その年の気象条件がそのまま品質へと受け継がれるわけです。
私も長年、蕎麦を扱っていて、農家さんとは密に連絡を取るようにしてますが、今まで一度も同じ状況で収穫できたことはありません。毎年、必ず何かの問題が起こり、その度にできる限りの手入れを行いつつ、最終的に収穫の判断を下す農家さんを間近で見ていて、実に誇り高い仕事だと思っています。
28年度の早刈り新そば入荷までもうしばらくお日にちを頂戴します。
ありがとうございます。
[10月20日(木)]
天気:曇り
石臼工場内室温:24℃
石臼工場内湿度:66%
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