昨日から福井市、丸岡町、あわら市などで秋ソバの播種が始まりました。今年は集中豪雨対策で全体的に一週間ほど早めの播種となっています。
福井の土壌は粘土質なのでソバに適度なストレスが加わり、粘りある味の濃いソバが育つ反面、水はけが悪く大雨に遭うと水が留まってしまうため、水はけを良くするためにこのように等間隔で溝を掘ります。この景色がアートのように見えて個人的に好きな風景なんです。
↓福井市のそば圃場です。
播種後、数日経過したソバは高さ3ミリほどに成長しています。
これが10㎝くらいまで成長すればとりあえず一安心。集中豪雨にさえ合わなければ流れることなく成長していくでしょう。
こちらは坂井市丸岡町の圃場。
福井市の圃場と同じく等間隔で水はけ用の溝が掘られています。福井市と丸岡町は高低の少ない平野部なので水はけ対策はしっかりと行わなければなりません。溝を掘る分だけ反収は少なくなりますが、手間暇を惜しんで高品質のソバを栽培しています。
トラクターの音を聞きつけたカラスが集まっています。
スズメはソバを食べますが、カラスは食べません。なぜ集まっているかというと耕した後に出てくるカエルやミミズなどの虫を食べるためです。カラスがいればスズメは来ないので播種したソバが食べられてしまうといった問題はありません。
↓福井県坂井市丸岡町のそば畑での溝切り作業(動画)
丸岡町に播種する種そばは、昨年度に収穫した丸岡町産の玄そばです。
収穫してから状態の一番いいものを播種用に確保されています。
機械に種そばを入れて播いていきますが、この時、施肥は行なわず無農薬無肥料で栽培します。また福井では基本的に同じ畑で毎年ソバを栽培するといった連作は行ないません。それは施肥をせずとも良いソバが育つように1年がかりで畑を肥やしていくからです。※詳しくは最下段で説明します。
耕した土を再度、撹拌しながら種そばを忍ばせていきます。
表面が太陽によって乾いているので、この日は少しばかり深めにソバを播いていました。
ソバを播いた上からローラーで抑えつけて風で種が飛ばされないようにしていきます。
日差しが強く外気温は35度を超えているので、トラクターを動かすだけでも大変な作業です。
↓坂井市丸岡町秋そばの播種(種まき)作業(動画)
福井のそば栽培が無農薬無肥料で行われるわけ
今ほど福井でそば栽培が活発ではなかった頃は農薬を使用してソバを栽培していましたが、天候にさえ左右されなければ特に農薬を必要としなくなりました。ソバに限らず福井の農作物は基本的に農薬不使用で、虫よけの為の薬品が少々使用される程度です。だからこそ皮付きのままで石臼製粉できるのです。
ソバという作物は栽培しますと土壌の養分のほとんどを吸収します。「畑を”ゼロ”に戻す」と言う方もしますが、それだけ畑からの養分を必要とし実に蓄えます。ですから福井のそば農家さんたちは、秋にソバを収穫した後に、大麦(春)→大豆(夏)→お米(秋)→大麦(春)→ソバ(秋)という風に作物を育てていく過程で畑を自然の力で肥やしていって、最後にソバによって畑を一旦、リセットするという段階を踏みます。
ソバは痩せた土地でも育つといいますが、結実したり良いソバが採れるかどうかは別問題です。やはりある程度、肥えた畑に植えないと良いソバになりません。かといって施肥するとソバの丈が大きく成長するのに養分を使い果たしてしまい、実の方にまで行きません。無肥料で栽培するには意味があるのです。
毎年、この時期は良いソバが育ちますように!と願をかけます。
気候も今のところは問題ありませんが、最近はほぼ間違いなく大雨が来ますし台風もきっと来るでしょう。来ることが分かっているので農家さんもそれまでにできる対策をしっかりと立てています。相手がお天気ですから人間のできることなんて微々たるもの。夏そばが豊作だったように秋そばも豊作になるよう祈っています。
[8月1日(土)]
天気:晴れ
石臼工場内室温:29℃
石臼工場内湿度:41%
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