蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。

豊田市駅(名鉄豊田線)から徒歩5分の蕎麦酒房 一献庵さんで行われた「福井の地酒と蕎麦懐石を奏でる」と題した日本酒会に参加させていただきました。一献庵さんでは月1回~2回のペースで大将が選ぶ日本酒とお料理を楽しむ日本酒会が行われているそうなのですが、今回は福井の蕎麦懐石と日本酒のペアリングを楽しむという魅力的な内容。そば懐石ですからすべてのお料理にソバが使われているということ。しかも私の他に福井から2つの蔵元さんにもお越しいただきました。1つめは「越の鷹」を醸す伊藤酒造の伊藤さん、そして「越前岬」を造る田辺酒造の田辺さんです。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
蔵元さんが日本酒会に参加することは今までにもあったらしいのですが、2蔵同時に来られるのは珍しいそうで、用意された約50席はすぐに満席となりキャンセル待ちが出るほどだったようです。
開催に先立ち、大将のご挨拶の後に私から簡単に福井のソバの話をさせていただいて、伊藤さん、田辺さんからそれぞれのそば料理に合わせたお酒の説明をいただく間に1品目が各席に運ばれました。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
最初のお料理は、福井県福井市の北部丘陵地で栽培された「夏の新そば」を使った極細わんこ蕎麦。採れたての新蕎麦の香りと極細麺だから味わえる甘みをまず楽しんでいただきたいということで乾杯の前にさっと出されました。
茹で上がりで1mmくらいの極細な麺線なのに、蕎麦を噛むとデンプン由来のクキッとした歯を押し返すコシがしっかりあって心地いい。この食感が楽しめるのは冷水で〆てからせいぜい3分くらいが限界なので、急ぎながらもゆっくり味わっていただきました。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。

■今回の日本酒ラインナップ(右から提供順↓)
①越前岬 Honami 福井県認証特別栽培米「さかほまれ」使用 限定無濾過原酒
②越の鷹 純米吟醸酒 RED HAWK 福井県認証特別栽培米「さかほまれ」使用
③越の鷹 純米酒 YELLOW HAWK 「越の雫」使用 ひやおろし
④越前岬 勝利の美酒「優勝」限定袋吊り本醸造 雫酒生
⑤越前岬 九頭竜純米 槽搾り 越前産復活米 永平寺町産「九頭竜」使用
⑥越の鷹 純米大吟醸SILVER HAWK「越の雫」使用

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。

2品目の蕎麦料理は、自家製豆腐のじゅんさい・蕎麦の実かけ。
よく冷えた器の底に柔らかいお豆腐が忍ばせてあり、少し芯が残る程度に火入れしたソバの実とじゅんさい、控えめな出汁がかかった爽やかな前菜。

合わせるのは、越前岬 Honami 福井県認証特別栽培米「さかほまれ」使用 限定無濾過原酒。華やかで甘みがある味わいは始まりのお酒として素晴らしい選択です。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
お造りは鯛と夏新そばの蕎麦刺。
1品目に出された極細そばを板状に切ったもので、蕎麦刺しだけ食べてもいいですが、鯛の切り身と一緒に食べると口の中で蕎麦料理として1品仕上がる感じがして実に面白い体験をしました。薬味に生わさびと唐辛子味噌が添えられていていろいろな食べ方で楽しめたのは非常に良かった。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
これに合わせるのは越の鷹 RED HAWK(レッドホーク)。
1本目の越前岬 Honamiと同様の酒米「さかほまれ」を使った純米吟醸酒で、やや辛口ながら旨みがしっかりあって、魚と蕎麦の甘みを引き出しつつ、最初から最後まで飽きの来ない味わいになっていると思います。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。

次に秋鯖の蕎麦味噌焼き 竹田の揚げ焼き添え。
肉厚ながら鯖の脂がさっぱりしているから蕎麦味噌の風味を損なわず、お互いに引き立て合っているように感じました。また軽く炙った厚揚げがふわふわカリカリでちょうどいい口休め。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
これには越の鷹 YELLOW HAWK(イエローホーク)。
「越の雫」という酒米をブレンドしたひやおろしで、先ほどのレッドホークとは全く異なる飲み口。とろみがあってじっくり味わえる旨口の純米酒でした。

満員御礼の会場で、方々から「並々で~」というおかわりの声が止まりません。蔵元さんもお酒の説明を挟みながら地酒を注ぎまくる(笑)

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
5品目は、蕎麦衣海老木の子餡。
蕎麦の衣をまとわせて揚げたかぼちゃと海老に木の子の餡をかけた秋らしい一品。このそば衣は、蕎麦を打った時に出る麺クズを使っているそうで、ソバの香ばしさと餡が絡まって柔らかくなったところが実に美味しかったです。

これには、越前岬「優勝」限定袋吊り本醸造 雫酒生を合わせます。このお酒はラベルこそ特別なものですが中身は本醸造で、日ごろ加賀家が愛飲しているものです。このお酒のいいところは冷やしてよし、燗してよしなところ。懐が広い酒なので熱燗も最高です!

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。

合間合間に各お席で福井のそば食文化について話が大いに盛り上がり、おススメのお蕎麦屋さんネタはもちろん、美味しいお店、観光地、福井の方言などなど、供されるお料理の説明も福井の食材が入っていると熱が入ります。

僕もそうですけど、福井から愛知へは行きやすいのでよく足を運ぶんですが、愛知の方々も意外と福井に来られるという話を聞いて嬉しくなりました。まさか豊田市の真ん中で福井の地元の話を広げるとは思いませんでした( ´艸`)

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
6品目、そば粉の治部煮 とろ湯葉のせ。
治部煮とは石川県金沢市の郷土料理で一般的には葛をまとわせた鴨肉と根菜類をとろ火で「じぶじぶ・・」と煮て作るところから治部煮と名付けられたと聞いたことがありますが、そば粉の治部煮いいですね!葛と違ってそば粉のとろみがさっぱりしているので、しつこさがなく湯葉との相性もすごくいい。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
味の濃い治部煮には、越前岬の九頭竜純米が出されました。
田辺酒造がある永平寺町産の「九頭竜」という酒米を使った槽搾り純米酒で、全体的に重め旨口のお酒が多い越前岬の中で割と軽い口当たりながらキレがあり余韻は越前岬そのもの。伊藤さんも田辺さんもお料理に合わせたお酒の選択はさすがです。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
7品目はちょっと変わり種のそば粉のガレットへしこのせ。
小麦粉をブレンドしたそば粉の生地にチーズと福井の発酵食へしこをトッピング。同じ発酵食品だからでしょうか、チーズとへしこがすごく相性が良くてカリカリの生地が上手くまとめてくれています。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。

最後は「越の雫」という酒米を使った、越の鷹 SILVER HAWK(シルバーホーク)純米大吟醸。たくさんの種類のお酒と料理を楽しんできた後でも感じる、とても華やかでうっとりするような香りはさすが純米大吟醸。飲んだ後の後味は潔いのに余韻は長く、また次の一口が欲しくなる。落ち着いたかと思えたおかわりコールが再び始まったのは言うまでもありません(笑) こういうお酒が福井にはたくさんあるからたまらないんですよね。

〆は、太打ち越前辛み大根蕎麦。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
福井で一般的に食べられている食べ方そのままで、これがお酒を飲んだ後の〆に最高なんです。薄っすら透明感のある粗挽き蕎麦はモチモチでシコシコ。お腹いっぱいでもおろし蕎麦だけはスルっと入ってしまうから不思議です。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。

今回は1種類あたり3升ずつ、計18升ものお酒が用意されたそうなんですが、そのほとんどが空になったそうで、豊田の方々の豪快な呑みっぷりはとても気持ちが良く驚きの連続でした。特にお酒が進むとどうしても対応に困る方も出てくるものなのですが、参加されたお客様は一献庵様の常連様で、楽しく吞んで閉会になったら長居は禁物とばかりにサッと帰る姿勢に”酒呑みの流儀”みたいなものを感じてすごく感動ました。

蕎麦酒房 一献庵(豊田市)にて、そば懐石と福井の地酒を楽しむ会が開催されました。
最後に大将を挟んで1枚。左から田辺さん(越前岬:田辺酒造)、伊藤さん(越の鷹:伊藤酒造)、野村さん(一献庵大将)、そして私。
この日、一献庵様で福井の蔵元さんたちと日本酒会に参加させていただいたことはとてもいい経験と思い出になりました。また開催できることを心から楽しみにしています。
ありがとうございました。

■越の鷹(伊藤酒造 合資会社)
http://koshinotaka.jp/

■越前岬(田辺酒造 有限会社)
https://echizenmisaki.com/

[蕎麦酒房と個室懐石 一献庵(いっこんあん)]
〒471-0029 愛知県豊田市桜町1-63 シングルプレイス1F
電話:0565-36-4550
営業時間:ランチ 11:30~14:30/ディナー 17:00~23:00
定休日:日曜日

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