2019年春、東京・浅草にオープンしたFleur de Sarrasin（フルール ド サラザン）さん。
こちらの店主である玉越さんは、以前、僕がフランス・ブルターニュへ本場のガレット文化を勉強するため視察に行った際に、サン＝マロという街にあるガレット店で大変お世話になり、帰国された後、自身のお店を持つにあたり都内の老舗そば店にて日本蕎麦の基本を学んだというほど「そば愛」の強い方。
お店の場所は、浅草駅（つくばエキスプレス）から徒歩3分ほど。
建物の1階奥に店舗があるため、道路沿いに掲げられたこの看板が目印。
奥様と二人三脚で店づくりから考案されたという店内は、どことなくサン＝マロのレストランに似た雰囲気がして清潔感があり細部にまで気遣いとこだわりが見える居心地のいい雰囲気。
センス良く飾られたそば畑の写真もやシードルの瓶も良いインテリアになっていて素敵です。
こちらではそば粉を石臼で自家製粉しているというから驚きです。
ガレット専門店をはじめ、ガレットをメニューに加えているお店は都内を中心に今や全国的に広がっていますが、石臼を取り入れてそばの実を製粉するところからガレットづくりをしているお店は日本にはないでしょう。
玉越さんは、自身の求めるガレットに仕上げるためのそば粉の挽き方にかなり苦労されたそうです。少しでも調整が狂うと焼き上がりの食感や色に影響してくるので、何度も何度も試作を繰り返してようやく納得の挽き方ができるようになったとか。製粉から取り組むという姿勢は頭が下がります。
我々、そば粉を専門に扱う仕事をしていても原料の状態や粒の大きさ、産地ごとに個体差がある中でお客様のご要望に合わせた製粉をし続けるのは大変なのに、それをやってのけるには目標に向かって貪欲に努力できる根気がないと続きません。玉越さんの想いが伝わってきます。
お昼時はランチメニューとして、食事とデザートの2種類のガレットを楽しむことができます。玉腰さんのガレットは、日本では手に入らないフランス製のガレットパンを使ってガスの高火力で一気に焼き上げるので、ブルターニュで食べられているような香ばしくパリッとした食感に焼きあがります。
▲辛口ソーセージ（チョリソ）のガレット
一般的なガレット店やカフェではナイフとフォークで食べますが、フルール・ド・サラザンでは、あらかじめガレットをロール状して一口サイズにカットしてくれるので、お箸でスマートに食べることができます。しかも、左下の小皿にある「とろみをつけたそばつゆ」につけて食べるという食べ方はいかにも日本人が好みそうな発想です。ガレットの本場で修業してきたからといってそのままのガレットを出すのではなく、本場ではやらない原料選びから製粉、食べ方の楽しさなど、型にはまらないスタイルがとてもおもしろく、他のガレット店と大きく違うところです。
生地の表面はパリッと香ばしく、中はほのかにモチモチ感があって卵とチーズとチョリソの塩気のバランスがちょうどいい。チョリソとそばつゆがどうなのかな？って思ったんですが、とろみがつけてあるからでしょうか、全然ケンカすること無く控えめなソースっぽくって美味しい。
▲リンゴのコンフィチュールガレット
デザートガレットの生地は、食事用と違ってさっくりふわふわした軽い食感。甘酸っぱい自家製コンフィチュールとすごく相性がいいです。
フルール・ド・サラザンさんは本場仕込みでありながら、日本人的発想でこれまでガレット専門店では行わなかった新しい取り組みをどんどん取り入れて、日本の新しいガレットの文化を発信して行かれるお店だと思います。これからも定期的に足を運んで美味しいガレットをいただきに行きたいと思います。
[Fleur de Sarrasin（フルール ド サラザン）]
〒111-0035 東京都台東区西浅草2-14-2 インパレス1-1Ｆ
電話：03-6876-1851
営業時間：11:45～14：00／17:45～22：00
定休日：不定休
▼【現地視察】ガレットの本場フランス・ブルターニュへ
https://www.kaga-seifun.com/galette/
