福井県産大豆と玄麦を原料に大野市の野村醤油さんが仕込んだ生醤油を楽しむ食事会が文京の蕎麦やす竹さんでありました。
火入れを行っていないからこそ味わえる”生”のストレートなガツンとした醤油の香りが食材と合わさる事によってどんな相乗効果がでるのか。今回の食事会を始め、数多くの試作を繰り返しながら情報交換を重ねついに製品化されました→(名前のない生醤油販売サイト)。
僕は個人的におろし蕎麦には出汁もいいけど生醤油で食べる方が美味しい!と思っていて、太打ちの蕎麦に辛味大根をぼてっとのせて、その上から生醤油を2回しくらいしたら一気に混ぜて食べる。生醤油の塩味と大根の辛味が蕎麦の味を上手に引きたて合うような気がしていたので、その辺りも楽しめたらいいなと思っていました。
▲先付け3種(金沢の生湯葉、黄身玉生醤油漬け、チーズ生醤油漬け)
先付けとして生湯葉の他、生醤油に数時間付け込んだという黄身とクリームチーズ。
今回はとにかく生醤油に合うようなお料理に心がけたという店主北谷さんの言葉通り、食材が持つ味わいと生醤油の強い個性が上手にまとまっています。
チーズと卵黄なんて、漬ける時間が少しでも長いと素材が生醤油の強さに負けてしまいそうなものですが、そこの見極めはやはりプロですね。食材と生醤油のちょうど中間よりやや素材寄りに仕上げてあって両方の良さがバランスよく引きだされていました。
大根おろしに小さじ1杯の生醤油を垂らして、大根おろしだけを食べてみてやっぱり大根おろしと生醤油の相性はすごく良いと感じました。大根おろしの甘みが生醤油の荒々しさを抑えてくれて、大根が持つ土の香りと鼻から抜ける華やかな生醤油の香りがすごい美味い!もうこれだけで十分酒の肴になるし、出汁巻きにたっぷりと添えて口に入れれば至福の味。
天候不順や台風が直撃すると途端に凶作になってしまう福井在来種。
この年は極めて貴重な存在になってしまった福井在来種を贅沢に使った粗挽きの蕎麦掻は、ねっとりもっちりした舌触りの中に挽き割状の粗いそば粒が食感のアクセントになって、ソバの強さと生醤油の強さが両方引き立て合います。これが粗粒も細かく挽きこんだそば粉で蕎麦掻にしてしまうと生醤油の香りに負けてしまうかもしれません。個性の強いものには強さを挽きだしたもので対応すると美味しさが2倍3倍と膨れ上がるんですねー。
ホクホクのあなごに生醤油は美味しいんですけど、穴子自体の香りや味わいが淡白なのでどうしても生醤油が勝ってしまいます。穴子はやっぱりお塩の方が好みです。ただ、生醤油を乾燥させて粉末状にした「生醤油塩」みたいのがあるとかなりいいかもしれません。アボカドに醤油は相性がいいのは言わずもがなですが、天ぷらにしたことによってアボカドの甘さが強くなるのと熱々のものに生醤油をつけることで香りが膨らんで美味しかったです。
十割蕎麦屋さんでうどんをいただくとは思いもしませんでしたが、熱々のうどんの底に黄身だけ忍ばせてあって、箸で豪快にかき混ぜた後に生醤油を数滴たらして食べる。性格の強い生醤油も卵でコーティングされると大人しくなって全体を上手くまとめてくれます。
そば屋さんの手打ちうどん、すごく美味いです。打ち方なんでしょうかね、そば打ちの技法がうどん打ちにも働くからか、口当たり柔らかいんだけどコシが無いんじゃなくて、つるっと喉越しが良い。麺の長さも一回すするとちょうど口に収まる感じが気持ちいい。
今回の食事会で福井県産の生醤油を初めていただいたのですが、普段使っているお醤油とは全然違って、香りは鮮烈だし荒々しいしとても楽しい時間でした。
ごちそうさまでした。
ご購入はこちらから→(名前のない生醤油販売サイト)
[蕎麦やす竹]
〒910-0017 福井県福井市文京7丁目9-35
TEL:0776-26-7281
営業時間:昼の部 11:00~15:30(ラストオーダー15:00)
夜の部 17:00~21:30(ラストオーダー21:00)
※蕎麦売り切れ次第閉店
定休日:毎週水曜日(祝日は営業)/毎週火曜日夜の部(祝日前は営業)